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「日本社会は戦争に向けて動き出している」−東京朝鮮第9初級学校で高橋哲哉東大教授が講演

大きな共感が広がった高橋さんの講演

 8日、東京都杉並区にある東京朝鮮第9初級学校で「民族教育権利と時局問題を考える講演会」が開かれ、高橋哲哉東大教授が講演した。

 「いま日本社会は戦争に向けて動き出している」と切り出した高橋さんは、北朝鮮による日本人拉致事件をめぐりヒート・アップした最近の日本のナショナリズムを見ると、戦争など始まろうものなら、またしてもあっというまに「一億総火の玉」が再現されるのではないかという懸念がないわけではないと語った。

 そして、高橋教授は「有事法制」が審議されている現在の国会で、「愛国心」と「日本人としての自覚」の育成を教育目的に据える教育基本法「改正」案が政府から出されようとしているのも、偶然ではないと述べ、「国家の戦争を支持し、それに協力しようとすれば、自国の勝利を願う『国民精神』がなければならない。その『国民精神』を本当に出そうとすれば、公教育こそ国家にとって絶好の装置として現れてくる」と語った。

 高橋教授は、「テポドン」騒動や拉致事件などで繰り広げられた北朝鮮ネガティブキャンペーンを利用して、いま、日本では「戦争ができる国づくり」への動きが強まっていると警鐘を鳴らした。

 高橋教授は武力に依らない平和構築の最前線に立つ気鋭の哲学者である。東アジア情勢を緊張させ、日本の軍事大国化の加速を鋭く追及してきた。この日の講演でも、民族学校卒業生の受験資格問題を認定せず、かすかに希望の光が見えていた日朝国交正常化交渉をつぶした戦争勢力に反対すべきであると語った。

 講演後、出席した約150人の父母などの中から活発な質問が出された。

[朝鮮新報 2003.5.20]