日本の道義、法的責任追及−「従軍慰安婦」問題で各国政府、NGO |
4月10日から11日にかけ、国連人権委員会は議題12「女性に対する暴力」に関しての討議を継続したが、そこにおいて南北朝鮮両政府とNGOから日本政府に対し、「従軍慰安婦」問題の最終的解決を求める発言が続出した。 人権委員会委員国家である南朝鮮代表団は、すべての人道的原則に反する性暴力犯罪の被害者と、彼女たちが属する民族と国家が被った痛みと苦しみは、消すことができないとしながら、性奴隷犯罪の被害者がしっかりと納得できる解決策を講じるよう求めた96年のクマラスワミ報告書に基づいて、積極的な措置を講ずることを日本政府に促した。 オブザーバー国家として参加している朝鮮代表は、クマラスワミ女史のこれまでの活動に謝意を表しながら、彼女の努力により、日本政府は第2次世界大戦中、国策として20万人の朝鮮女性をはじめとした数多くの女性をアジアとヨーロッパから「従軍慰安婦」という名目のもとに連行し、日本軍の性奴隷に強いたことは、広く知られることとなったが、これは歴史の前例を見ない深刻な人道に反する罪だと発言。続けて、このような重大な人権侵害を罪として認めてこなかった日本の見解と態度は、日本が特別報告官の勧告を、真摯に履行する意志がないということを表していると指摘し、特別報告官制度を継続させ、その活動にクマラスワミ報告官がこれまで出した勧告の履行状況を監視するシステムを含むよう、人権委員会に促した。 政府に続き、複数のNGOも「従軍慰安婦」問題に関し、発言した。 国際友和会、日本友和会、アジア女性人権評議会のジョイント発言では東京造形大・前田朗教授が、96年のクマラスワミ報告書において日本政府が「従軍慰安婦」問題に関し、道徳的責任のみならず法的責任を有しており、国家として謝罪と賠償を行うべきだと勧告されたにもかかわらず、その履行を怠っていると指摘した。 韓国女性団体連合のシン・ヘスさんは、ちょうど昨日(4月9日)で533回目を数え、12年間続いている、元「従軍慰安婦」とともに行う日本大使館前での水曜定例抗議集会は、最後の生存者が亡くなるまで少なくともあと10年は続けられるだろうが、すべての被害者が亡くなったとしても、彼女たちの精神は、集会に参加し、「従軍慰安婦」の博物館に足を運んだ若い人々の心の中に生き続けるだろうとしながら、人権を思う人々と歴史は、日本が自らの戦争犯罪に対する国家責任を否定し続ける事実を記憶し、記録し続け、そのため日本は、世界の指導者としての資格を決して得られないであろうと強い口調で述べた。 NGO「リバレーション」を代表して発言した在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑氏は、人権委員会に「従軍慰安婦」問題が提起されて以来、特別報告官と女性団体の活動により、女性の人権保護促進の面においておおきな発展があった、人々は被害女性を非難するのではなく、加害者にこそ責任があるとみるようになり、クマラスワミ女史の報告書に叙述されている通り、日本政府などの責任のある政府には長い間否定され続けてきたが、慰安所制度のような性奴隷制度は、戦争犯罪であるばかりでなく、人道に反する罪に値するということが、ひろく認識されることとなったとしながら、国家責任を回避する目的で創設、運営されているアジア女性基金のようなものではなく、政府による公式謝罪、加害者の処罰、補償をふくむ特別報告官の勧告に基づき、被害女性がじゅうぶん納得できる措置を講じることを日本政府に促すよう、人権委員会に訴えた。 全中国女性連盟の代表も、「慰安婦」問題に対する日本政府の措置は、すべてのアジア女性にとって受け入れられず、許すことができないと発言した。 また国際民主法律家同盟を代表して発言した在日本朝鮮人人権協会国際担当理事の筆者は、日本の帝国主義政権は、アジアの不当占拠中、数多くの女性を性奴隷としたが、彼女たちが今も被り続けている痛みは、筆舌に尽くしたがいものである、日本はこの重大犯罪について政治的に、道義的に、そして法的に責任をとらなければならないが、その義務を怠っているので、現在も同じようなことが繰り返されている、その一例が在日朝鮮人への嫌がらせであり、とくにチマ・チョゴリを着た女生徒が標的とされていると発言した。 議題12の討議を終えるにあたって、日本政府が反駁権を行使、10日の南朝鮮政府の発言に対し、日本政府の見解を述べた。日本の国連欧州本部大使は、「従軍慰安婦」問題を含め、第2次世界大戦中に起因する補償問題は、関連国際協約に基づいた義務を日本政府が履行したことによって、日本と南朝鮮の間で完全にかつ最終的に解決したという従来の立場を繰り返した。 これに対し南朝鮮政府が即座に反駁、人権委員会は性奴隷制を人道に対する罪と規定し、日本政府に加害者の処罰を含む勧告をしてきたことを喚起しながら、問題解決に向けて日本政府が積極的措置を講じないことに遺憾の意を示したうえで、高齢の生存者たちが存命中に、日本政府が戦争犯罪についての責任を認め、問題解決することを期待すると述べた。 [朝鮮新報 2003.5.16] |