変わらぬ伝統的侵略体質−ブッシュのイラク征服戦争 |
ブッシュによるイラク征服戦争が始まった。カーター元米国大統領ですら「文明国の歴史の中でほとんど前例のない行動」だと激しく非難した。平和を願う国際世論と国連憲章をも踏み躙る最も野蛮な侵略戦争である。この道義なき大量殺戮を米国は即時中止すべきだ。 ここにいたれば、人間の持つあらゆる想像力を駆使しながら、この汚い無差別虐殺の実態を見つめなくてはならないだろう。20世紀は、人類史上、多くの人を殺した世紀であった。戦争と地域紛争で殺された人間の数は、非戦闘員の数が圧倒的に多く、1億人を超えると言われる。最も多く殺した国が米国である。大量破壊兵器を多く保有し、それらを積極的に開発し、ためらわず実戦使用し、他国への侵略と国家テロと謀略にかかわり、「自由」と「民主主義」の名で他国の自主権を徹底的に蹂躙したのは米国だった。 朝鮮戦争での民間人大虐殺、ベトナムでのソンミ虐殺。12年前の湾岸戦争での無差別虐殺と経済制裁による約100万人の子供たちの理不尽な死。これらは今、世界から「極悪非道の戦争犯罪」として告発されているのだ。昨秋上映されたコッポラ監督の「地獄の黙示録」(ノーカット版)にはナパーム弾の下で逃げ惑う人々の阿鼻叫喚の様が描かれている。しかし、米国はそれより何百倍とも言われる特殊大型爆弾「デイジー・カッター」をアフガンと前次湾岸戦争で使用した。一発の爆発で東京ドーム5倍もの面積の地上と地下のあらゆるものを一瞬にして破壊するという恐るべき殺戮兵器である。そして、今回さらにその破壊力をはるかに上回る史上最大の空中爆弾「MOAB(モアブ)」を開発し、イラクに実戦使用しようとしている。この極悪非道な殺戮はまさに「高度に技術化された蛮人が世界を仕切ろう」(作家、辺見庸さん=朝日新聞3月22日付)とするものにほかならない。 「欲しいものは何が何でも手に入れる」という米国建国以来の愚かな思い込み。アメリカ大陸先住民の皆殺し、土地の収奪を正当化してきたその伝統的侵略体質は、全く変わっていない。イラク征服戦争は、世界第2位の埋蔵量を誇るイラク油田を狙ったものであり、中東の覇権を握ること以外にない。 小泉首相は世界でもいち早くブッシュ政権のイラク攻撃に支持を表明し、アジア全体を戦争の危機に巻き込もうとしている。 日本が「イラク戦争と北朝鮮問題」をセットにしながら、北を仮想敵とする狂乱的な反北騒動を繰り広げているのは、東アジアを戦禍に巻き込む危険なシグナルである。20世紀、日本はアジア諸国の2000万人もの人々の命を奪った。 アジアの人々の共通の悲惨な体験は、半世紀を経ても消えることのない怒りと憤激を呼び覚ましている。日本は今また「新たな侵略の道」、愚かな対米追従行動をただちにやめるべきである。(粉) [朝鮮新報 2003.3.31] |