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「戦時」の国で声を上げる−群読「戦争をとめよう!」

 世界各地で米軍のイラク攻撃に反対する声が高まる中、3月8日、国際女性デーを記念して、東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザで、第11回「おんなたちの祭り」が開催された。

 青野恵美子製作「PEACE NOT WAR−9.11直後のニューヨーク」のビデオ上映で幕を上げたイベントでは、HOWS(ハウズ)群読ゼミが、反戦への想いを込めた群読「戦争を止めよう」を披露。男性1人を含む10人が舞台に上がった。

 舞台中央スクリーンに映し出された、元日本軍「慰安婦」姜徳景さんのポートレート。「責任者を処罰せよ!」との悲痛な叫びが胸に迫る。

 血と暴力、破壊の世紀だった20世紀を振り返り、「群読」は、なおも続く戦争、貧困、飢餓、環境破壊を告発する。そして、昨年9月17日以降、日本各地で起こった朝鮮学校、生徒に対する脅迫、暴言、暴行、さらには、1月29日に起こったチマ・チョゴリ事件についても触れた。

 ある出演者は「事実上、日本はいま戦争に参加している。だからこそ、ここで反戦の声を高めたい」と話す。出演者らの胸には、台本の中にある「日本の人たちがいましなければならないのは、鏡をのぞいて、自分が何をしているかを知ることです」とのノーム・チョムスキーの言葉が刻まれている。

 出演者の中には、都内の朝鮮学校に子供を通わせる在日女性の姿もあった。

 「きっかけはチマ・チョゴリ事件を日本の友人に知らせたことだった」と彼女は話す。「こういう時期だからこそ、何かしなくてはと思った。日本のマスメディア、特にテレビ報道は、北朝鮮への嫌悪感や憎悪感をあおるものばかり。日本の反戦行動をキチンと伝えていない。もっともっと、反戦、平和の願いをいろいろな方法を使って伝えることが大切だと思う」

 同、群読ゼミで「在日」が出演するのは初めてのこと。準備期間、ゼミ参加者たちにとって「在日の方と知り合えた」ことはとても大きな刺激となった。

 「同じ日本で暮らしていても、今まで知り合うことができなかった」「その人たちが過去の戦争の被害者であること、また、その子供たちが今、日本で傷ついていることを、具体的な人の顔が見えることによって、より実感できるようになった」と、彼女らは話す。

 ガイドライン関連法、国旗・国歌法、通信傍受法、住民基本台帳法、テロ対策特別措置法が成立し、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定を合格、自衛隊艦船のインド洋派遣、「有事関連三法」…といった一連の流れは、戦争の放棄、軍備および交戦権の否認を誓った日本国憲法第九条改悪への動きを鮮明に表している。

 世界に対する反戦のメッセージを、身近なところから見つめなおした女性たちの叫びは多くの観衆の胸に響いた。(潤)

[朝鮮新報 2003.3.17]