〈改革の現場で〉 盛況の平壌国際商品展 |
25ウォンの入場料 平壌市西城区域にある3大革命展示館。普段は静かな正門前の広場が、人びとでごった返していた。平壌国際商品展覧会(11〜14日)に訪れた人びとである。同展示館では毎年国際商品展覧会が開催され、今年で6回目になる。展覧会には中国、ドイツ、タイ、マレーシアなどから多数の外国企業が参加した。 「展覧会は、わが国と他国の貿易業者間での多方面の交流、協調、取引の空間となっている。商品開発に必要な科学技術も互いに学ぶことができる」と話すのは、貿易省傘下の朝鮮国際展覧社のキム・チョンセさん。彼は展覧会の目的について、「国の経済活性化に貢献すること」と説明してくれた。展覧会の開催期間、キムさんは広報を担当したが、それだけに集中できなかった。参観者が波のように押し寄せ、会場の整理に追われたからだ。 従来、参観者の大半は専門の貿易関係者や技術者であった。しかし今年は、平壌の各階層の市民が訪れた。 「正門で25ウォンの参観料を支払えば誰でも会場に入ることができる。展覧会はどの国でもそうでしょう」。キムさんは、特異な現象ではないと指摘するが、注目されるのは、「誰もがこのような行事に感心を寄せるようになった」(キムさん)ことだ。全般的経済管理改善措置がとられる以前は、商品展覧会は、人びとにとって自ら訪れるようなイベントではなかった。専門性を帯びていた。 中国のある貿易会社が食料品、衣類などを展示していたが、今年は、貿易担当者ばかりでなく一般商店の支配人や労働者も参観していた。 貿易取引の担当者 学校が夏休みということもあって、会場には経済活動とは縁もなさそうな女子中学生の姿も見られた。男女のカップルも見られた。 「25ウォンでいろいろな国の経済すう勢を見ることができる。実利のあることでしょ」とキムさんは話すが、実際に展覧会に対する大衆の関心は高くなった。 社会主義市場が存在した頃は、バーター貿易が可能であったが、今は資本主義市場に積極的に進出して商品を売らなければ、必要な物資を調達できない。 以前朝鮮での貿易活動は、専門機関だけが担当して行ってきた。経済管理を改善する一連の措置がとられてからは、個別的な工場、企業所も必要によっては貿易省の統一的な指導のもと、貿易活動を行えるようになった。 従来の経済管理方法は、資材と設備は、国家の単一的な計画によって各工場、企業所が提供してもらい、各生産単位では計画に沿って指標を達成するというシステムであった。工場、企業所には、拡大再生産のための最小限の経費が支給されてきたが、どこまでも資材、設備は国家的な保障体系に依存していた。 一連の措置により、工場、企業所の経営活動が「稼いだ収入による評価」に移行されてからは、経営実績によって拡大再生産のための余裕資金をさらに多く持てる空間ができた。また、貿易取引も専門機関の独占物ではなくなった。国際商品展覧会に一般商店の支配人が訪れ、外国の貿易業者と取引活動を行う光景が見られるようになった。 品質向上に向け 国内企業と外国企業との合作で製作した最新型の垂直加工中心盤が展示された場所には、多くのひとが群がっていた。輸出のため外国の取引対象を探すのが出品の目的であったが、国内企業の責任者や技術者も興味を示して見入っていた。外国への販売価格を提示すれば、国内の企業もその機械を購入できる。 「資本主義市場に進出するためには、すべての商品に質の向上が求められる。質向上への努力が、結局は国内の経済発展へとつながる」。キムさんは、経済改革の結果、貿易部門での最も大きな変化のひとつが「品質向上のための努力」と指摘する。 「外国の市場調査など、工場、企業所の市場開拓の道を開いていくのも貿易省の役割。展覧会はその一環」と説明するキムさんは、「貿易省も時代の流れに沿って、機構を拡大していくことだろう」と話していた。【平壌発=金志永記者】 [朝鮮新報 2003.8.23] |