「福岡県朝鮮学校を支援する会」、福岡朝鮮初中級学校を初訪問 |
「福岡県朝鮮学校を支援する会」が4日、福岡市内の福岡朝鮮初中級学校を訪問した。同会は、県内の朝鮮学校に対する@教育助成金の増額(私立学校水準)A寄付金の税制上の優遇措置B改善補修などの補助金給付C各種国家試験資格の付与―などを日本政府と地域行政に求めていくことを主な目的として9月に結成された。まずは朝鮮学校の実態を目で見て肌で感じてみようと組まれた今回の学校訪問。同会代表の石村善治・福岡大学名誉教授をはじめI女性会議県本部と県高教組のメンバー、県議会議員、弁護士、各市民運動団体メンバーら20数人が参加した。 学校訪問ではまず、同校の尹慶龍校長が学校の沿革、民族教育の現状、運営状況などについて説明した。なかでも運営状況について、福岡県は他の都道府県に比べて助成額が非常に低く、県および各市町村の朝鮮学校に対する助成額は、私立学校に比べて年間(昨年度)1人当たり、高級部で約7%、中級部で約12%、初級部で約12%にしか満たないと実情について語り、引き上げに助力してくれるよう訴えた。これに対し参加者からは、「朝鮮学校の保護者も日本人同様、納税の義務を果たしているのに、それが全然還付されないのはおかしい」との声が上がった。 その後、参加者らは初級部4年から中級部3年までの社会、日本語、数学、国語(朝鮮語)などの授業を参観し、生徒らによる民族舞踊、カヤグムと歌、民族打楽器演奏などの発表会を鑑賞した。発表会では、全国中学生人権作文コンテストに福岡代表として出場し、法務副大臣賞(4位)を受賞した朱星一さん(中級部3年)が作文「友達が教えてくれた事」を朗読。中級部から同校に編入した朱さんは、「三バカトリオ」と言われるほどの仲良しの日本の友達と離れ離れに。その後、「朝鮮人としての自覚に目覚め、また、朝鮮人としての誇りも持てるようになった」が、今でも彼らと友情を深められるのは、「互いを理解し合い、協力」し合っているからだと主張した。 学校訪問では懇談会も開かれた。参加者の感想を紹介する。 永松義博さん(県高教組委員長):何かと厳しい情勢の中での会結成だったが、学校を支援するにはまず、実態を知るのが大切。学校初訪問は、意味ある一日となった。これからどういう形で何ができるかを模索していきたい。生徒の作文は、今後できることから一歩一歩していくべき方向性を示していたと思う。 船越英雄さん(福岡教育大学名誉教授):朝鮮学校と日本学校との交流が盛んだと聞いたが、日本の子どもたちが異なった文化を持つ国(朝鮮)の子どもたちと交流するのは貴重な経験だ。 前海満広さん(福岡平和フォーラム事務局):心と心が触れ合えば、交流はさらに深まるだろう。 津留雅昭さん(弁護士)朝鮮学校の校長、保護者、生徒ら8人が6月、県などが日本人学校と同等の地位、待遇を保障するよう、県弁護士会に人権救済申立を行ったが、引き続き積極的に訴えていくべきだ。 末永節子さん(I女性会議県本部):陰に押しつぶされない学校を作っていけるよう、バックアップしていきたい。 吉柳順一さん(県議会議員):問題解決のために議会でも積極的に提起していきたい。 支援する会事務局長の入江種文さん(県議会議員):一歩一歩、仲間を集めて連帯を広げていきたい。本会では活動内容を伝えるパンフも作成、学校支援カンパ運動も展開している。(羅基哲記者) [朝鮮新報 2003.12.11] |