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娘の心「とりこ」にした夏期学校

 夏真っ盛り。今年も各地の総聯支部では朝高生たちによる夏期学校が一斉に開催された。

 我が家のポストにも1枚、参加を呼びかけるチラシが投げ込まれていた。年長組の五歳の娘、来年からウリハッキョに行かせるつもりではあるが、プレスクール代わりにと、近所の友人に誘われるがままに、軽い気持ちで参加を決めた。でも、この「軽い気持ち」があだとなった。夏期学校が行われる支部まで、電車とバスを乗り継いで往復1時間。遠くはない距離だから…とたかをくくっていたのが、大間違い。生後100日目を迎えたばかりの下の子を抱っこひもにくくりつけ、狙ったように急にやってきた夏空のもとにとびだすと、5分で息があがる。この「通学」の送り迎えがつらくて、1日目の帰り道に早くも、「ねえ、明日からは保育園に行かない?」と甘いことばで娘を誘ったが、もう後の祭り。「保育園も好きだけど、ソンセンニム達はもっと好き」娘は完全に朝高生ソンセンニム達のとりこになっていた。かくして、給食、プール、お昼寝付き、母親にとってこの上なくありがたい保育園を娘は1週間お休みし、ハギハッキョに皆勤賞で通った。

 たかが1週間、されど1週間。この期間、あるったけの汗をかきかき、毎日支部に通い続けた私の体は少しだけスリムになり、そして娘の心は見違えるほど大きく成長した。

 「今日はね、ウリマルでお名前を書いてみたの」と、空気ノートに何度も自分の名前を書いてみせてくれたときの娘の誇らしげな顔。「アヤオヨ…オヨオヨウイ。あれー、オヨがいっこ多いよ!」と、帰りの電車のなかで復習したり。はじめて親を離れ、朝高生のオンニやトンム達と行ったプールは、よほど楽しかったのだろう。真っ赤に日焼けした顔に満面の笑みをうかべ「流れるプールは、流れるんだよー」と、娘なりのリアル描写でその楽しさを語ってくれた。修了式には手作りケーキをみんなでつくり、心のこもった写真入り色紙の修了証までもらって帰ってきた。

 いつの日か、この子が大きくなったとき、この夏の思い出を、ウリマル、ウリクルを初めて習った今日のこの日のことを思い出してくれるだろうか。

 「何でひゃんあの名前はみんなと違うの?」「オンマはなんでチョソンサラムなの?」…「チョソンサラムであることを当たり前」のように育ててきたが、周りの保育園児との違いからか、最近彼女のなかでは「当たり前」ではなくなってきているらしい。娘よ、大いに悩み、そして考え抜いてください。そのすべての答えが心のなかにしっかり根を張るまでオンマはいつまでも見守ります。

 修了式の日の帰り道、娘がそっとわたしにささやいた。「オンマ、ひゃんあも高校生になったらオンニたちみたいにソンセンニムになってウリマル教えるの」。

 千葉県西部支部でソンセンニムになってくれた朝高生のみなさん、本当にありがとう。娘の心にチョソンサラムの芽が芽生えたようです。(全佳姫、事務員)

[朝鮮新報 2003.8.18]