朝鮮大学校−専門家、企業家、経営者育成する経営学部 |
在日の起業家精神、企業資産を代を継いで発展させたいという同胞らの要望を反映して、1982年4月に設立された経営学部(金在日学部長、50)。21世紀の同胞社会のビジョンを見すえ、経営活動を的確にサポートする専門家、また新時代の同胞企業家、経営者に求められるグローバルな視野と高度なスキルの習得を目指している。 勝ち組、戦略、資格取得も 経営学部では、大きく分けて経営学、会計学、経済学、法律の4つの分野を総合的に学ぶ。即戦力≠フ育成が目標だ。ゼミも「現代世界経済とユーロ」「アジアの貿易と北南朝鮮経済」「現代日本の金融政策と不良債権問題」「現代企業の競争戦略」「中小企業の資金調達問題」「フランチャイズシステムとベンチャービジネス」などのテーマを取り上げ活発な論議を行っている。 こうした講義、ゼミ以外にも近年、卒業生のみならず第一戦で活躍する専門家、経営者らを招いて、日本社会の中で勝ち抜くための経済・経営戦略などを実践的に学ぶ場も設けている。 昨年、在学生と20代の卒業生による合同研究会「21世紀経済経営戦略研究会」が発足。金融問題を主に、現実に即した論議を重ねている。メンバーの1人、権順踊さん(4年=北海道朝高出身)は、「実体験などを通じて理論を深められるのが大きなメリット。卒業後は同胞社会の発展のために、日本の大学院でアジア金融について学びたい」と言う。TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)855点の英語力を持つ彼女は現在、大学院入試の準備を行っているという。 同学部の卒業生はこれまで約1000人にのぼり、全国の商工会や民族金融機関、金剛保険、貿易商社、同胞企業などで、また税理士、中小企業診断士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者となり、幅広く活躍している。今春の卒業生の中には在学中、日本経営管理協会主催の全国大会で論文を発表し、奨励賞を受賞した者もいる。 また学生起業家選手権に出場し、起業家を目指して意欲的に取り組んでいるグループもある。 遊戯、飲食研究会を発足 権純祐さん(4年=九州朝高出身)は最近、宅地建物取引主任の資格を取得した。「経営学部は、本人の意欲さえあれば、あらゆることにチャレンジできる環境が整っている」と強調する。 実は純祐さんの呼びかけで今春、「業種別研究会」が発足した。研究対象は同胞の「基幹産業」とも言える遊技業、飲食業で、生き残りをかけてたたかいが繰り広げられている分野でもある。 「業種別研究会」には45人が参加している。遊技、飲食の双方に興味を抱いていたり、家業の発展に役立てたいという学生たちが集まった。 そのうち遊技業研究会では現在、多様な各種情報をベースにしたスピード経営、顧客満足度に関するデータの収集など、分析のための基礎資料集めに力を注いでいる。 責任者の金東柱さん(4年=茨城朝高出身)は、「この分野は『勝ち組』『負け組』の色がはっきりしてきており、長期、短期的な経営戦略、他店との差別化などが求められている。さらに研究を深め、よいアイディアを同胞社会に提案できれば」と意気込む。 一方の飲食業研究会。同胞の多くが携わる焼肉業がメインだが、現在、飲食業の現状を把握するための研究に取り組んでいる。 「日本市民と朝大生を対象にしたイメージ調査(アンケート)を実施、経営のシミュレーションも行っていきたい」というのは、責任者の鄭万寿さん(4年=愛知朝高出身)だ。「新世紀のチャレンジャー、パイオニアとしての役割を見つけていきたい。そうした夢と希望を語り合い、実現に向け仲間を作れるのが朝大のいい所。それは一生の財産になる」と話していた。(羅基哲記者) [朝鮮新報 2003.7.14] |