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北南植物学者による「統一植物誌」に向けて−朴俊泳・朝大教育学部教授

 教育学部で、理科教育の講座を担当する朴俊泳教授(42)。専攻は植物生理学だが、研究室を訪ねると、農業・山林問題に関する資料やビデオなどが多数山積みされていた。現在、朝鮮におけるこれらの問題の解決にも取り組んでいるからだ。

 朝鮮では1994年以降、洪水など度重なる自然災害に見舞われ、食糧、エネルギー不足の解決が緊急問題として提起された。

 「食糧問題を解決するため、祖国では問題発生の原因を多方面にわたって分析してきた。私はこれまで、簡単に言うと炭酸ガスを吸収し、太陽エネルギーで有機物質の生産に結びつく緑化事業、山林造成を推し進めることを主張した。つまり葉っぱなどの有機物質が増えれば、農業生産の増産につながるということだ。例えば日本では、漁民が植林事業に力を入れている地域がある。生物資源は元をたどれば、純一次生産量に依存しているからだ」

 また山林造成は、エネルギーの増産、自然災害、地球温暖化の防止にもなる。総聯では現在、各機関と同胞らを網羅した植林事業を展開しており、5年の計画で平壌市中和郡馬場里の100町歩の山を「総聯愛国林」にする予定だ。一般的に山林造成は10年、100年後を念頭に置いて行うというが、ここでの事業をモデルにするともいう。

 一方、6.15共同宣言発表後、北南間の各種協力、交流事業が進む中、北と南、在日の3者が一堂に会して開かれた科協の第42回学術報告会(昨年10月)で朴教授は、「統一植物誌」制作の重要性を指摘。その後、科協代表団として南を訪れ関係団体と交流した。

 今年2月には、中国・北京での「統一植物誌」制作に関する議定書の調印式にも参加(2010年完成予定)。「共同研究、統一問題が進んでいることを身を持って体験することができた」と語る。

 昨夏には、理科教育講座で学ぶ学生たちと共に、関東の初級生徒(抽選)を対象にした「トト理科教室」を開催。昆虫採集や天体、動物などの観察、電子顕微鏡を使った昆虫の微細構造観察、各種実験などを通じて、子どもたちに理科に対して親しみ興味を抱いてもらう契機にするとともに、学生たちには教える喜び≠伝えることができたという。

 「課題は多いものの、1人でも多くの子どもが理科に興味を抱き、同胞社会、祖国の発展に貢献できるようになってくれれば」と強調していた。

[朝鮮新報 2003.4.26]