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朝鮮大学校−今年から新設された「短期学部」

 本学年度から新設された短期学部(2年制、権文柱学部長)。民族性を培う一方で、情報化社会に対応できる専門知識と資格の取得を目指す学部だ。2つの学科が設置され、生活科学科に19人(全女性)、情報経理科に8人(男女4人ずつ)の計27人が入学したが、そのほとんどが本紙に掲載された案内を見て、入学を希望するようになったという(情報処理科2年には理工学部の情報処理科の学生が転科)。「必要な設備を完備した教室、器材には学父母らも満足している」(権学部長)。また学生たちは問題意識をしっかりと持ち、資格取得に意欲を示している。各種専門知識を身につけた卒業生たちは「同胞社会の即戦力」として期待される。入学から約2週間、学生たちの出身地は北は東北、南は九州まで広域にわたっているが、すでに学友として仲良く、楽しく授業を受けている。新設学部としては、好調なスタートを切ったと言える。(羅基哲記者)

40種類以上の料理法

調理実習でおにぎり作りにチャレンジ

盛り付けのバランス、飾り付けについて指導する金講師

WORDの基本操作について学ぶ

秋のキムチ作りのために白菜を栽培

 生活科学科の特徴は、衣食住に関する科学的、民族的知識と技能を総合的に学び、生活を文化的に営むために求められる実践的な生活術を幅広く身につけることだ。

 科目は、一般教養科目のほか、朝鮮文化、民族音楽、被服学、栄養学、食品学、調理学、介護福祉学、健康管理学、英会話、日本語、家庭医学、商業簿記、住居学、コンピューター実習、総合実習など17科目ある。

 なかでも力を注いでいるのは調理学と総合実習だ。

 調理学の授業は、毎週木曜、冷暖房を備えた調理実習室で行われる。7台の大型調理台、業務用冷蔵庫、電子レンジ、グリル、ダクトなどの器材、食器など必要なものを完備。料理一般の知識と技術を基礎に、朝鮮料理をはじめ中華、西洋、日本料理など約40種類以上の料理法を学ぶとともに、調理師免許取得に必要な関連科目を受講する。

 2回目の授業は、基礎の基礎である「おにぎり」作り。まず釜でご飯を炊くが、朝鮮古来の手法、「2層炊飯」で行う。釜を斜めにすることで、水分が多いところは柔らかくなる。子どもや老人を考えてのことだ。一方、水分の少ないところは硬めで、若者用。わが先祖たちがかつて、いかにしてハラボジから子どもたちまでの大世帯のお膳を準備してきたかをうかがうことができる「智恵」の一端だ。

 ご飯が炊けた後、学生たちは手際よくおにぎり作りに挑んだが、最後の盛り付けは、まだまだのようだ。「盛り付けのバランス、四季を感じさせるちょっとした飾り付けが食欲をそそる」―調理師歴25年の金純子講師(48)の話に、学生たちはうなずく。

 「たかがおにぎりだが、奥の深い授業」と語るのは、大阪朝高出身の尹智愛さん。在学中に各種資格を取り、卒業後はブライダルあるいは福祉関連の職に就きたいと考えている。

 また授業では、学校の近所に30坪の土地を確保。秋には学生たちが栽培した白菜でキムチを作る予定だ。

 一方、総合学習では、書道、陶芸、フラワーアレンジメント、園芸、編物、メイク、ブライダル関連などの各種技能を学ぶ。

 「みな目的意識がはっきりしている」と言う愛知朝高出身の李鮮華さんは、福祉あるいはスポーツ関連の職を希望している。なお同学科では、調理師、ホームヘルパー2級以上、ワープロ検定3級以上、日商簿記検定3級以上などの資格取得を奨励している。

日高卒業生も

 情報経理科は、情報技術時代と経済のグローバル化に対応できる情報処理能力、経理処理能力を身につけられるようにするのが目的だ。

 一般教養のほか、情報処理、コンピューター利用と経理、会計に関する総合的知識と技能を学ぶ科目と、各種資格取得のための選択科目の計20科目からなる。

 奨励する資格は、初級システムアドミニストレータ、基本情報技術者、情報処理活用能力検定2、3級、日商簿記検定2、3級、ワープロ検定2、3級などだ。

 当初、専門学校に通う予定だったという山口朝高出身の崔成沢さんは、「授業内容はほとんど同じ。専門学校だと帰宅途中で遊んでしまう可能性もあったので、勉強が目的なら、短期学部のほうが好条件と考えた。選択は正しかった」と言う。

 一方、日本学校出身の李英姫さん(岐阜)は、「4年制よりも2年制という親の希望もあった。それにウリマルを学べることが何よりもうれしい」とにっこり。

 卒業時には、権学部長自ら撮影した写真集が、短期学部の歴史の1ページとして学生たちにプレゼントされる予定だ。

[朝鮮新報 2003.4.26]