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考え表現できる力を−千葉初中の図書室改革

 「自分の頭で考え、表現できる力を」−。千葉朝鮮初中級学校(千葉市花見川区)では、学年ごとに週1回、「図書室の日」を設け、児童、生徒たちが本に触れ合う機会を作ってきた。その結果、各種コンクールで賞を受賞するなど着実に力が育まれている。この試みは1991年から「図書室改革」として推進され、毎年千葉地域商工会の寄付による50万円で充実を図っている。

世界観、人生観の育成

本の世界に入り込む児童たち

 同校が「図書室改革」を始めたのは91年。IT化の流れの一方で子どもたちの活字離れが進み、こうしたなかで、「日本社会を生き抜いて行くための豊富な知識と豊かな想像力を兼ね備えてほしい」と願う同胞学父母たちのニーズにこたえるためだった。

 初級部では学年ごとに放課後の週1回「図書室の日」を設け、すべての児童が週に1度は必ず図書室を訪れて本を借りることができるようにした。また読んだ内容がしっかり自分のものになるように、そのつど感想文を書くことも習慣づけている。感想文は学年ごとに文集にまとめ、年度末に発行してきた。

 10余年の取り組みを通じて子どもたちに表れた変化について、初級部の李定児教員はこう指摘する。「読書量が増えるにつれ、集中力が高まった。また活字に対する抵抗感がなくなり、日本語の本はもちろん、朝鮮語の本を好んで読む子も増えた。世界観、人生観が養われ、友達に優しくしたり、目上の人を敬うなど、道徳面でも本のストーリーから多くのことを学んでいる」。

 子どもたちの反応はどうか。初級部2年の千龍文くんは、「借りた本を開く時は、『どんな話だろう』といつもわくわくする。この前は恐ろしい物語を読んで、トイレに行けなくなっちゃった」。同級生の玄美希ちゃんは、「今では次の『図書室の日』までに1冊を読みきることができるようになった」と誇らしげだった。

潜在力を発揮

貸し出し状況はコンピューターで管理

 ストーリーが子どもの心理に与える影響は大きいとあって、毎学年度末に行われる購入本の選定は同校教員たちによって慎重に行われている。

 文科省などの推薦図書を主に、図鑑、辞書、参考図書などを充実させてきた。また全保護者からアンケートを取り、人気の高かったものも合わせて購入している。

 昨年からは、同商工会の金禹顯会長が「図書選定をはじめとする運営の一助に」と寄贈したコンピューターを駆使し、貸し出し状況を管理。これによって年間の利用状況や子どもたちが好む本の傾向などが一目で分かるようになった。

 一方、たくさんの本を読み、感想をまとめるという作業を続けるなかで、生徒たちに備わった能力も各方面で発揮されている。第23回千葉市青少年弁論大会では最優秀賞(98年)、県知事賞争奪県中学校決勝弁論大会では00、01年ともに学校賞(団体優勝)に輝いたほか、「千葉県課題図書小中学校読書感想コンクール」「かんぽ作文コンクール」をはじめとする各種コンクールでも毎年多くの賞を受賞。

 「審査員の共通した評価は『朝鮮学校の児童、生徒は自分の主張をしっかりと伝えることができる』というもの。自分の頭で考え、表現することを読書を通じて培うことができたのでは」と文剛校長は強調する。

 保護者の一人で、千葉地域商工会の黄金錫副理事長(兼総務部長)は、「日本の学校にも劣らないほど多くの本がそろった図書室を子どもたちにプレゼントしたいという同胞たちの熱意により、図書室への支援が始まった。日本と北南朝鮮、世界にはばたける力をいっそう発揮できるよう、これからもたくさんの本に触れてほしい」と述べていた。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.4.12]