朝鮮大学校体育学部卒業生、1年間、「余暇体育」実施 |
今日、朝鮮大学校では卒業式が行われる。卒業生たちは、それぞれの思いを胸にさまざまな分野で新たなスタートを切ることになる。朝鮮大学校体育学部では、卒業を前にした4年時の1年間を通じ、「余暇体育」の授業を実施してきた。この試みは、卒業生たちがあらゆる場所で共に支えあう社会の必要性を知り、障害者や高齢者のための体育の重要性を学ぶよい機会となった。全員が「授業での経験を今後に役立てたい」と口をそろえた。 同じ場所で 朝大体育学部で講師を務める李節子さんは、現在NPO法人CS21の理事を務めながら、障害者と健常者、老若男女を問わずさまざまな人が同じ場所で同じスポーツを楽しめるユニバーサルスポーツを取り入れるための活動を精力的に行っている。 李さんは昨年1年間、朝大の学生たちと共に新しいユニバーサルスポーツを考案しようと、「余暇体育」の授業を実施した。日本では「ニュースポーツ」「生涯スポーツ」とも言われ、「楽しさ」を得ることを第一に考え、誰もが簡単にプレーを楽しめるスポーツをいう。柔軟性のある競技規則と適度な運動量でハンデも少なく、簡単な用具でプレーを楽しめるのも魅力のひとつだ。 競技には、インディアカ、キンボール、シャッフルボード、チャンスボール、囲碁ボール、公式ワナゲ、グランドゴルフなどがあり、海外から紹介・導入したものや、既存のスポーツを簡略化したものまで分野は幅広い。まだ知られていないものも多く存在し、独自に作ることも可能な「ニュースポーツ」。これからもその種類は増えていくものと予想されている。 学生自ら考案
「余暇体育」では自分たちで授業を練るのが基本だ。学生たち自らが授業メニューを作成。これまで「4面バレー」や「ミニテニス」など取り組んだ内容はさまざまだ。 最後となった2月14日の授業では、東京・十条にある障害者スポーツセンターで「シッティングバレー」を行った。4年生たちは障害者チームとの練習や試合で汗を流しながら楽しく過ごした。 柳美香さんは、「障害者と健常者が共にできるスポーツの存在は知っていたが、これほど多様な内容とは知らなかった。『シッティングバレー』では、障害者の人たちがとても楽しんでいるのを見て感動した。生き生きとした姿を見ると、とてもハンデがあるとは思えない」と話す。 朴成姫さんは、「自分たちで授業内容を練り、それを実践したのがとても勉強になった。高齢者、障害者たちが簡単に楽しめるスポーツが必要だと感じた。これからもこうした活動に携わっていきたい」と抱負を語った。 「1年間授業を受け、高齢者や障害者たち誰もが楽しむことのできるスポーツの普及が本当に大切だと感じた」と話すのは鄭竜基さん。 「在日同胞社会でも高齢者と障害者に対する事業が盛んになってきており『ムジゲ会』の音楽療法などが注目を集めているが、運動療法を行っているという話は聞いたことがなかった。今後、授業での経験を学部で生かすことができればいいですね」(鄭さん) 講師の李さんは、「学生たち自らが授業を考案することに重点を置いてきた。その甲斐あって今までにないとても画期的な授業になった。学生たちには今後の糧になったはず。『スポーツ』は勝つためのものだけではなく、障害者も高齢者もみんなが楽しめるものにならなければいけない。これからもこのような触れ合いの場を提供することで、学生たちにいろいろな経験をさせてあげたい。幅広い分野での活躍を期待したい」と語っていた。(金明c記者) [朝鮮新報 2003.3.10] |