日本の教師らが民族楽器寄贈 |
千葉教職員組合(県教組)、千葉高等学校教職員組合(高教組)の教諭や市民団体代表らが5日、千葉朝鮮初中級学校を訪ね太鼓などの民族楽器を寄贈した。昨年10月23日に同校で行われた交流会の際、民族舞踊を披露した生徒たちが破れた太鼓を使っていたのを見て、「何とかしてあげたい」と募金活動を行ったもの。募金には175人が協力、30万円を集め、太鼓12個、チャンゴの面6枚、チョッテ(横笛)ひとつが学校に贈られた。 支える運動活発に
千葉朝鮮初中級学校と日本市民との交流の歴史は長い。私学、県教組、高教組など交流母体や形式はさまざまだが、25年くらい活発に交流を行ってきた。 寄贈式であいさつした菅谷貢・千葉県立船橋二和高等学校教諭は、「現在千葉では朝鮮学校を支援する会の活動が断ち切れた状態になっているが、新潟を中心とした全国的規模の支援する会の結成準備も進められており、千葉もこれに積極的に参加して運動を盛り上げていきたい」と述べながら、「情勢は厳しいが生徒の皆さんには頑張ってほしい。今日の寄贈式を機に私たちも日朝友好活動をがんばる」と生徒たちにエールを送った。 寄贈式で流ちょうな朝鮮語を使いながら生徒たちに楽器を手渡した吉井哲・千葉県立磯辺高等学校教諭も、「排他的な日本社会の中で民族のアイデンティティーを守ろうとしている生徒や父母の姿に感動を覚える。朝鮮学校を訪問するたびに、助成はもちろん一条校の扱いも受けられず迫害され続けているひどさを実感する」「日本の社会や政府にがっかりするし情けない。やっていることがあまりにも政治的」と語った。 歴史が専攻の吉井教諭は、江戸時代までの平等な日朝関係が明治以降アジア諸国に対する蔑視政策に変わったと指摘しながら、「それは今も変わっていないということをあらためて感じる」と話す。 「うちは高校なので生徒同士の直接的な交流は難しいが、先生たちと交流することで、問題を克服していけるよう手助けをしたい。また、機会を見て学校レベルでの交流もできれば」と抱負を語った。 日本の最低限の責任
元千葉高教組委員長の横堀正一・日本朝鮮学術教育交流協会事務局長は、「朝鮮学校の先生たちの苦労は相当なもの。本来なら、日本の政府が民族教育の権利を責任をもって保障するべき。諸外国には2百何十校の日本学校があるが、当然ながら権利保障されている。英米はよくてアジアはダメという国立大学の受験資格に対する文科省の今回の見解は、あまりにも政治的だ」と述べ、「国連や日弁連の勧告など国際常識で考えればあまりにも不当なもので、世論を盛り上げれば勝てる運動だ」と指摘した。 朝鮮学校との交流活動で中心的役割を果たしている二瓶朝夫・千葉県立磯辺高等学校教諭は、「朝鮮学校を訪問して思うことは、教師と生徒の信頼関係が築かれた学校らしい学校だということ。朝鮮学校との交流に携わるようになったのは、隣人と普通に付き合える普通の社会を作りたいと思ったから。よく『朝鮮問題』と言うが、本当は『日本の問題』だと思う。これを日本の人々が自覚できるよう努力していきたい」「在日朝鮮人が厳しい状況の中でもがんばってきたからこんにちの民族教育がある。民族教育を守っていくことが日本社会の最低限の責任だと思う」と述べた。 寄贈式の後に行われた懇談会でも、「今の日本の状況は関東大震災の時を彷彿とさせる」「日本人の国際感覚、外国人との共生を考える契機にすべき」など活発な意見交換が行われた。 同校の文剛校長は、「厳しい情勢の中、『こんな時だからこそ』とさまざまな協力をしてくれることにとても感謝している。生徒たちも自分たちのためにこんなによくしてくれる日本の人々の存在に感激している」と語った。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2003.3.10] |