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まじめに伝えたいなら

 7月中旬から11月初旬まで4カ月ほど、取材のため平壌に滞在した。帰日直前の10月末から、朝鮮中央テレビで連続ドラマ「12歳」が始まった。

 朝鮮の連ドラには社会で実際に起きている出来事を題材にしたものが多い。肯定的な面ばかりでなく否定的な面も描かれており、朝鮮の現状を知るうえでも参考になる。

 「12歳」は、コンピューターの秀才を養成する金星学園の教師となった朝鮮コンピューターセンターの若手技師が主人公。同学園に入ったばかりの中学1年(12歳)の生徒たちとさまざまな葛藤を経ながら、ともに成長していく姿を描いている。

 教師の言うことも聞かず、授業中に借りてきた上級生の教科書を読むなど、好き勝手にやっている生徒。新任教師が同僚や校長のアドバイスを受け、試行錯誤を繰り返しながら次第に生徒たちと打ち解けていく姿は、見ていて心温まるものがあった。

 最終回を見れずに日本に戻ってきたところ、某民放局でこのドラマを紹介していた。ところが、「全国各地から連れてこられる子どもたちは、どこに連れていかれるかわからない」などと、相も変らぬ「北朝鮮バッシング」の「資料映像」として使われていた。

 朝鮮のテレビの映像をデフォルメしては、「おかしな国北朝鮮」というイメージを植えつけることに躍起になっている日本のテレビ。そこには政治的な目論見とともに、視聴率稼ぎに利用していることがうかがえる。先ほど話題になった視聴率操作事件などは、日本のテレビがどれほど視聴率中心主義に陥っているかを物語ってくれるものだ。

 日本のテレビが、朝鮮のことをまじめに伝えたいのなら、「12歳」のような連ドラをノー編集、字幕つきで放映すべきだろう。

 相も変らぬワンパターンの「北朝鮮報道」に、そろそろ視聴者も飽きているはずだ。(松)

[朝鮮新報 2003.12.9]