〈ざいにち発コリアン社会〉 国立島根大学で「韓国、朝鮮語」教える韓賢二、崔貞美講師 |
国立島根大学(島根県松江市)で「韓国、朝鮮語」の非常勤講師を務める韓賢二さん(48)と崔貞美さん(46)夫妻。2人はともに山陰朝鮮初中級学校(99年に現岡山初中と統合)の元教員で、現在、岡山県倉敷に住む。授業は1回生(全4学部)の教養教育科目の中にあり、英語以外の第2外国語(独、仏、中国、韓国、朝鮮)の選択、履修科目。1回生の半数以上が受講している。講師は全5人で、うち韓さん、崔さんの2人が担当する学生は「韓国、朝鮮語」の全受講生の約7割、400人を超える。独自のテキストを使用した「わかりやすく、覚えやすい」授業とあって、学生らの人気を得ているほか、大学側の評価も高い。 「韓国、朝鮮語」の授業が同大で始まったのは9年前の94年4月のこと。崔さんが同大名誉教授内藤正中氏から推薦を受けたのがきっかけだ。崔さんは朝鮮大学校師範教育学部を卒業後、山陰初中に赴任した。その後16年間、初級部低学年を受け持ってきた豊富な経験、かつ丁寧な授業運びが評判で、その実績≠かわれた。 当初、受講生は約30人。山陰初中の教員を務めるかたわら、国立大講師として学生らにも「韓国、朝鮮語」を教えた。授業は実に親切でわかりやすい、と好評で、受講生は年々増え、4年前からは韓さん(朝大歴史地理学部卒)も講師に。最高時、480人の受講生を受け持ったという。 韓さんは、「国立大で教べんを執れるのも、朝鮮学校で長年、子どもたちに民族の言葉と文字を教えてきたから。外に出てあらためて思ったことだが、子どもだけでなく、大学生にも受け入れやすいのを見ると、民族教育がいかに水準が高いかを示しているのでは」と強調する。 現在、韓さんは週6回(会話4、文法2)、崔さんは5回(文法5、うち1回は2回生以上の合同)の授業を受け持っている。年2回、学生のアンケート形式による評価が出されるが、2人の評価はともに「とても高かった」。 10月下旬、韓さんの会話・後期第1課「食事・時刻」の講義を訪ねた。教室には法文学部の1回生40人ほどが座っていた。 午後からの授業のため韓さんはまず、「お昼は食べましたか?」と質問。お昼は「점심(チョムシム)」、お昼ご飯は「점심밥(チョムシムパプ)」と説明。それに朝は「아침(アチム)」、夕方は「저녁(チョニョク)」と時刻を教え、「비빔밥(ピビンパプ)」、「국밥(クッパプ)」などと食事についても応用を加えながら教えていった。 また、ご飯を食べる時、日本では茶わんを持つが、朝鮮半島では持たないことなど、習慣についても。そうした話を交えながら、「아침밥을 먹었습니까(アチムパブル モゴッスムニカ=朝ご飯はいただきましたか)」「네、아침밥을 먹었습니다(ネ アチムパブル モゴッスム二ダ=はい、朝ご飯を食べました)」と会話文を作成させる。 最後は2人1組になって、テキストの「単語帳」を活用しながら応用問題を出し合い、韓さんが1組ずつ発音と文法のチェックをする。学生たちは考え、議論し、実習で知識を応用することで、自然に知識を身につけているようだ。 兵庫出身の男子学生は、「問題を出して答えるというやり方は覚えやすい。地元にいる友人に여보세요(ヨボセヨ=もしもし)と電話をかけたら、ビックリされました」とうれしそう。 福岡出身の女子学生も「当初はあまり興味を抱いていなかったが、授業で風習、習慣についても話してくれるのでなじみやすい」、広島出身の女子学生は「となりの国なのでもっと知りたい」と話していた。 キャンパスで学生たちに「안녕하세요(アンニョンハセヨ=こんにちは)」と声をかけられる韓さん。「言葉、文化を教え、互いを理解する契機になれば」と話していた。(羅基哲記者) [朝鮮新報 2003.11.17] |