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〈2003年度朝鮮料理店経営集中講座〉 講演から

マインドシェア獲得を

 繁盛店はコンセプトが明確でトータルコーディネイトされている。客に元気を与え、従業員から一生懸命さが見える。

 時代はチェーン店より個店が優勢だ。ヒューマンインダストリーといわれるように、人に良い店、良い人にする店が求められている。今や「おいしい」は当たり前の時代。競争に勝つためにはサービス面で差をつけることが重要だ。そのためにも人(従業員)の質を高める、すなわち経営者自身が、正しい知識を学び、人材を集め、トレーニングすることが重要になる。なぜなら、客数が増えない理由の8割強が、「従業員の無関心な態度」「商品、サービスの不満」など、店側の対応にあるからだ。

 基本は、「当たり前のことを当たり前に、日々誇りを持って完全にやり続けること」だ。しかし、「当たり前のこと」のレベルが向上している中で、現状に留まっていたら勝ち残れない。

 「個客化、地域化、個店化」戦略をしっかりたて、「差別化」ではなく他店との違いを明らかにする「区別化」を進め、地域における自店のポジショニングを確認し、店舗数、販売シェアを競うのではなくマインドシェアを獲得し、信頼ブランドを築くことが「勝ち組み」への近道だ。(清水均氏、潟vロジェクト・ドゥ・ホスピタリティマネージメント研究所代表取締役)

やる気あるスタッフを

 顧客に満足感を与えるのは、店で働くスタッフの手腕に起因する。顧客が満足すれば店の売り上げ、利益も伸びる。

 サービス業を営む以上は店に対するクレームは必ずある。要は、同じクレームを繰り返し受けないためにどうするかがポイントだ。

 そこで必要なのは接客に関するマニュアルを作ることだが、より重要なのは、マニュアルを超え、経営者や店長と同じ判断を下せるスタッフ(従業員)を育てることだ。そのためにも、スタッフ自らに意見を出させ、判断基準をどこにおくかというトレーニングを行い問題の改善点を見いだし、クレームの対処法などをつくることが必要だ。

 人のやる気とは、「人に言われたことをするのではなく、自分でやりたいと思ったことをすること」から生まれる。経営者は、教わる方が「教えてもらいたい、やってみたい」と思うような環境を作ってあげるべきだ。

 参加型組織を創るステップとして、クオリティリーダー、ビジョンの伝達、トレーニング、比較と検証、権限委譲、改善の6つが挙げられる。リーダー自身がまずスタッフにより関心を持って接し、店づくりのビジョンや夢、従業員のメリットなどをしっかり伝え、トレーニングを通じて顧客の満足を自分の問題として捉えられる仕事場の雰囲気を作ることが重要だ。(富樫正浩氏、(有)アイ・ボックスコンサルティング代表取締役)

効能最大限に活用

 私は朝鮮料理を人に勧めるとき、「体にいいから」ではなく「おいしいから食べてみなさい」と話している。それは、朝鮮料理は味にこだわっている料理だからだ。また、チョジャンやヤンニョムジャンに見られるように、味が複合しているのも特徴だ。

 唐辛子、ゴマ油、ニンニクといえば朝鮮料理の3大調味料だが、15世紀ごろに日本から朝鮮半島にわたった唐辛子は、朝鮮料理の発達にかかせない食材として使われてきた。ゴマ油やニンニクにも疲労回復や抗菌作用がある。これらの調味料をふんだんに使う朝鮮料理は、食べた後にサウナに入ると発汗作用が活発になることから代謝にとてもよい。

 繁盛店では肉類はもちろん、ナムルやキムチなどのサブメニュー、スープ類のトライアングルがしっかりできている。中でもおいしいキムチは客を喜ばせ、店のグレードをアップさせる。ただし、発酵していないものをキムチとは呼べない。

 朝鮮料理は肉類だけではなく、野菜料理も豊富だ。肉をおいしく食べさせるポイントとしてサラダ類に力を入れてほしい。季節に応じてピビンバの具を工夫するなど、オリジナリティーを出すのもアイデアだ。(金純子氏、朝鮮料理研究家)

[朝鮮新報 2003.11.4]