〈2003年度朝鮮料理店経営集中講座〉 店舗見学し意見交換 |
「在日同胞を取り巻く政治、経済状況は非常に厳しいものがある。とくに、BSE騒動の再発などで飲食店は深刻な打撃を受けている。そうした状況下で開かれる本講座を通じ、学んだ多くの知識を実践に移すことによって事態を打開してほしい」。朝鮮料理(焼肉)店経営集中講座は、梁守政商工連合会会長(総聯中央副議長兼任)の力強い激励のあいさつで始まった。講座は今年で7回目を迎えた。業界の有名講師らが出演する同講座は、回を重ねるごとに同胞店舗のステータスと経営手腕の底上げを手助けしてきた。(千貴裕記者)
講座初日の夜には、グループ別店舗見学と意見交換会が午後10時半過ぎまで行われた。 都内でも指折りの繁盛店−YAKINIKUトラジ・パラン(港区汐留)と正泰苑本店(荒川区町屋)を訪れた参加者らは、店に着くやいなや看板の位置、ディスプレイなどを注視した。パランは、地上46階からの景色を眺めながらのランチやディナーを売り物にしている。 4人1組で席に着いた参加者らは、内装やBGM、従業員の接客態度などに注目する。 「座席のスペースがゆったりしていて落ち着いた雰囲気だ」「肉の盛り付け方がきれいで器ともマッチしている」。次々と運び出される料理を見ながら、参加者らの意見が飛び交う。一方で、「このキムチの盛り合わせは値段に比べたらどうか」などの厳しい意見もでた。そして話は自然と自店での経験談へと進んだ。この講座は経営ノウハウを学ぶだけではなく、同業者同士の人的交流の場にもなっている。 記者の横に座った李康成さん(25)さんは北海道からの参加。営業マンをしていたが、今年末に父親が新規出店する店の店長を務めることになったという。同世代の同業者2人を前にしていろいろと情報交換。「学ぶ点が多い。どんどん吸収したい」と笑みを浮かべた。 店舗見学を終えた参加者らは、夜8時過ぎに講座会場の朝鮮商工会館に戻った。まずは5項目22の内容に分かれた質問事項に採点を記入。そして、経営者の立場から繁盛店の長所と短所について意見を述べ合った。「立地と店作りはマッチしていた」が、「提供商品の順序は適正でなかった」など。 厳しい意見を述べ合う参加者たちだが、それは同時に接客など自店のサービス内容について顧みる意見交換会でもあった。確認しあったことは、BSE騒動など業界を取り巻く状況が困難な中、同胞業者らが知恵を振り絞り情報を交換しあって、ともに焼肉業界を盛り上げていこうということだった。 京都キッチャン営業本部長の趙元来さん(28)は、「昨年に引き続いての参加だが、今年は人の大切さを学んだ。いい刺激も受けた。学んだことを実践に生かし、店に還元したい」と述べた。東京正泰苑の張泰成さん(20)は、「すべてがいい勉強になった。朝鮮料理を愛する多くの年配、同世代の人たちと巡りあえてうれしかった」と語った。 同胞飲食業者協議会の安海元会長(62)は、「22年前に同胞飲食業の有志たちではじめた勉強会がこの講座の原点。その後、有志たちで肉類流通会社を立ち上げ、同胞営業者の商売を影で支えてきた。金日秀社長の経験談など若手が活躍している姿を目の当たりにして、自分の事のようにうれしい。1、2世が守ってきた朝鮮料理の味を3、4世が力強く守り発展させていることが財産だ」と総括した。 [朝鮮新報 2003.11.4] |