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同胞法律・生活センター連続講座第2回講座行われる

 同胞法律・生活センター主催の連続講座「在日コリアンのための知って得する暮らしの法律」−第2回「在日コリアンの相続問題が複雑な理由は…? 事例でわかる同胞の相続」が18日、東京上野の同センター会議室で行われた。講師は同センター所長で、税理士、司法書士でもある沈植氏。内容を紹介する。

 ―在日コリアンの相続に関しては、どの国の法律が適用されるのか。

 まず日本の法例第26条(相続に関する規定)によると、相続は被相続人(死亡した人)の本国法によって処理されると定められている。外国人登録上の国籍欄が朝鮮であれば、朝鮮の法、つまり対外民事法が適用される。それによると、不動産相続は相続財産の所在する国の法、動産相続は被相続人の本国法が適用されるとあり、結果的には日本の民法が適用されることになる。また、韓国籍の場合は韓国民法、日本国籍の場合は日本民法が適用される。

 ―相続人の範囲は。

講習後は質疑応答が交わされた

 朝鮮籍の人にも適用される日本民法と韓国民法では、その範囲が異なる。代襲相続発生の場合(例えば父親より息子が先に亡くなっている場合)日本民法が適用されると、被相続人の子の妻は相続人になり得ないが、韓国民法を適用すればその妻も相続人になる。

 また相続人に直系卑属(例えば子、孫)が無く、直系尊属(例えば父母、祖父母)もいない場合、日本民法だと被相続人の配偶者と兄弟姉妹が同順位の相続人になるが、韓国民法適用の場合だと配偶者のみが相続人になる。これらは日本民法と韓国民法の大きな相違点で知らない人が多く、それから受ける影響も少なくない。また適用される民法の違いによって、法定相続分も異なってくる。

 ―遺言について。

 遺言は、自分の財産をその死後にどのように処分するかをあらかじめ決めて置く制度だ。本人の自由意思によってどのように処分しても構わないため、自分の好きな特定の人に遺贈するという遺言もあり得る。例えば、妻子に一円も遺産の分配を与えないという遺言もあり得るが、それを法で認めた範囲で取り消すことが出来る遺留分という制度もある。この場合、妻子は相続の発生等を知ってから1年以内に請求すれば、相続財産の半分を取り戻すことができる。

 ―相続税とは。

 相続税とは、相続や遺贈によって取得した財産などの合計額が「基礎控除額」(5000万円+1000万円×法定相続人の数)を超えた分について課税されるものだ。非課税財産、また税額から控除されるものもある。有効な相続税対策としては、現金や預金をそのまま持っているよりは、土地を購入し、小規模宅地などの特例の適用を受けることが出来れば相続税の課税価格を最大で八割減額することができる。

 講座では、相続登記必要書類の一覧、遺産分割協議書、日本公証人連合会発行の「遺言のすすめ」、国税庁の関連資料、関連法の資料などが配付された。次回のテーマは生命保険問題を含む家計のやりくり。11月15日、午後2時から同所で行われる。
(羅基哲記者)

[朝鮮新報 2003.10.28]