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知らなかったで済む?

 「9月に修学旅行で祖国を訪問して一番良かったことを生徒に聞いたところ、チマ・チョゴリを着て堂々と街を歩けたことと答えが返ってきた。心ない人たちによる相次ぐ暴言、暴行に生徒たちは心に深い傷を負っている。生徒の気持ちも分かってほしい」

 北海道朝鮮初中高級学校の教員は、4、5の両日、札幌で開催された朝鮮統一支持運動第20回全国集会2日目の民族教育分科会でこう発言した。一瞬、会場は水をうったように静まり返った。

 分科会では全国の朝・日教育関係者などが参加し、民族教育問題について話し合われた。

 総聯地方本部の関係者が大学受験資格、助成金の差別問題など朝鮮学校が受けている制度的、政治的差別の現状を説明すると、そうした事実を全く知らなかった日本人参加者は、終始驚きの表情を見せていた。

 分科会では質疑応答が繰り返された。日本人参加者からは「機会は均等であるべき。受験できないのはおかしい」「情勢と教育は切り離されるべき」などの感想が聞かれた。また、現状打開のため、このような事実をどう伝え、運動を繰り広げていくのかが論議された。

 60代の日本人男性は、「日本人は歴史をきちんと習っていないから、正しい歴史を知らない。だからといって、知らなかった、では済まされない」と強調、朝鮮学校差別問題も同様だと述べていた。

 同じ時刻に、朝鮮半島情勢分科会も行われ、日本政府が平壌宣言に沿って国交正常化交渉を行なうとの立場を表明しながら、過去の清算問題に何ひとつ取り組まずに対決姿勢を取っている現状について話し合われた。宣言に署名した小泉首相自身も宣言の基本精神を知らないのではないか、という意見すら出されたという。今の朝・日の状況は、「知らない」の一言で済まされてしまいそうで歯がゆい。宣言の原文をもう一度吟味してもらいたい。(姜)

[朝鮮新報 2003.10.22]