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「トンム」になれることを

 神奈川県横須賀市にあるしらかば保育園に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、7匹の犬の石像に囲まれた石碑だ。「子どもは 王様 世の宝」と刻まれたこの石碑は、同園の理事長、浜田幸生氏が建立した。故金日成主席の言葉から引用したという。

 1980年以来、昨年5月まで9回に渡って訪朝し、現地の幼稚園との交流などを深めてきた。「なんて情の深い国だろう」。行けば行くほどに朝鮮を好きになっていったという浜田さんは、訪朝期間中に撮影した写真を集めて写真集を製作した。「朝鮮の子どもたち」と題したその写真集には、ナチュラルな表情の子どもたちの姿が数多く掲載されている。

 浜田さんは写真集の巻頭言にこう書いている。

 「…朝鮮に対する日本のマスコミや西側メディアが盛んに喧伝する一方的な情報が余りにも多く、見識が無いと思われます。また国民も、たれ流しの情報をそのまま受け入れている人がたくさんいるのです」

 そして、「どうぞ、ありのままに『朝鮮の子どもたち』の写真集を見ていただければ、幸いこのうえもありません」としている。

 日朝の人々が本当の意味でわかり合える親しい関係になることを願ってやまなかった浜田さんは今年3月7日、73歳で亡くなった。

 妻で同園園長の浜田はる子さん(70)は、写真集製作で燃え尽きてしまったようだと振り返る。最後の訪朝は昨年5月。昨年冬にも再訪朝を願っていたが、朝鮮側から「今冬は寒さが厳しいので、春になって暖かくなったら来てください」との回答があったそうだ。

 「春が来るのを待ち焦がれていたのに」とはる子さんは残念がる。

 しらかば保育園には「トンム(友達)」という名の犬がいて、園児たちにも人気だ。朝・日の人々が早く「トンム」になることを、浜田さんは天の上で願っているに違いない。(聖)

[朝鮮新報 2003.10.14]