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「愛」には「愛」で

 先日、資料を捜すため取材ノートをひろげるとふと目にとまった文句があった。ずいぶん前の話になるが、朝鮮大学校同窓会の奨励賞授賞式の事だ。

 受賞者の一人は、演壇で「愛」についてこう語った。

 「愛」とは、ひとつ、関心を持つ事である。「愛」とはひとつ、人生においてひと時を共にすることである。そして「愛」とは、ひとつ、生きがいと道標を与えることであると。

 メモを見ながらさまざまな事が脳裏をよぎった。そして、ひとつの結論をだすことができた。その答えは身近な所で探せた。

 最近、出社すると、毎日のように読者から叱咤激励の電話やメールを受ける。

 苦情ばかりで、時には嫌気がさすときもあるが、この頃は、なるほど「関心」があるから「お褒めの言葉」も「お叱りの言葉」も受けることができるのだと思うようになった。

 そして、紙面を見れば一目瞭然。新報の2面には毎号かかさず、全国各地の総聯本部や支部、学校などから寄せられる投稿記事が掲載されている。これは、ひとえに同胞たちが新報をこよなく愛してくれている証拠だろう。昨今の同胞社会は昨年の9.17以降、類を見ない厳しい状況に見舞われているが、それにもめげず同胞たちは一致団結し、難局を自らの力で乗り越えている。

 読者の皆さんもご存知だろうが、8月から朝鮮新報の紙面を一部改編した。9月下旬からはHPにもリアルタイムで情報を掲載するようになった。しかし、読者のニーズにこたえるにはまだまだ、程遠いと心がけている。

 「生きた情報」、「力になるニュース」。

 改編を機に新報が同胞と共に歩み、生きがいと道標を与えられる生活情報紙となれるようがんばりたい。それが読者からもらう2つの「愛」に応えるわれわれ記者の「愛」なのだから。(千)

[朝鮮新報 2003.10.8]