〈在日本朝鮮留学生同盟 過去・現在・未来〉 留学同大阪 |
初めて同胞友人と 留学同大阪本部は関西大、大阪大、関西外大、近畿大、大阪市立大、大阪芸術大、京阪急合同、阪奈合同の8つの支部で構成されている。 留学同大阪では96年度以来、毎年春の新入生歓迎シーズンに「コリアンスチューデントツアー(KST)」と題し、日本学校出身の新入生だけを集めた1泊2日の交流イベントを琵琶湖畔で行ってきた。 この行事に参加して初めて同胞の友人と出会う参加者らも多い。留学同大阪の「名物行事」として同胞学生にも好評を得ている。 活動内容の基本は、春の新入生歓迎パーティー、「コリアンスチューデントツアー」などの新入生歓迎行事のほか、夏の講習会をはじめとする各種講習会や学習会。ウリマル、近現代史を中心とした祖国の歴史、朝鮮半島情勢や民族教育の処遇改善など、在日同胞社会で提起される問題について学んでいる。 医療ネット活性化も 近年では、同胞学生の学業、生活上のニーズに合わせた活動を展開していこうという方針のもと、留学同京都、留学同兵庫と合同で、法律、経済系の資格取得を目指す同胞学生たちのためのスキルアップ講座「エクステンション21」を今年5月に開いた。また、医療系専攻の同胞学生たちによるネットワーク「KS医療ネット関西」の活性化に取り組んでいる。 民族文化活動では、ライブ「三世打鈴」にむけての取り組みを中心に、多くの同胞学生がウリマル、朝鮮舞踊、民族楽器演奏などを積極的に学ぼうと、若い世代ならではの現代的感覚を取り入れた新鮮でユニークな活動スタイルを構築中だ。 文化的アプローチで 留学同大阪では昨年12月、同胞、日本人学生を中心に150人規模のライブイベント「三世打鈴」を行った。日頃学んでいることを発表できる場の少なかったアート系(音楽、映像、美術、文学など)の大学、専門学校生を中心に、ありのままの自分を表現したいという声があがった。その声をもとに昨年7月に企画された。 同化が進む中、民族性を守ることがいつにも増して重要視されている。「民族性とは、守るべきものは何なのか」。その1つの答えとして提起したのが「打鈴」であり「チャンダン」だった。守っていくべきチャンダンと若者の感性、リズムの融合により「在日朝鮮人の可能性」を見出したい、また大阪在住の約3000人の同胞学生をいかに網羅するかという難題に少しでも効果的な方法だと思った。
昨年の9月17日の朝・日首脳会談をまたいで行われたイベントだった。マスコミの偏向報道が世論をミスリードしていく中、今こそ前に出るべきだと進めた企画だったが、成功を収めることができた。 今年も第2回「三世打鈴」を12月20日に企画している。今回はフリーペーパーの発行、美術作品の「展示会」、韓国人留学生、中国朝鮮族僑胞留学生との「3者討論交流会」など大きなうねりを創る工夫も予定している。 これと関連し9月には、北東アジアの平和と祖国統一にどのようにアプローチできるのか模索しようと、沖縄を訪問した。反戦地主、チュチェ思想研究会所属の先生、沖縄大学教授、大学生などと交流し多くの成果を得た。共有すべきは歴史であり、「日本の過去清算問題」と「反米意識」、豊かな民族文化による歩み寄りだと認識した。 現在「日本社会」が特異な状況にあるのは周知の事実だが、日本人自身が気付き行動を起こさなければ、潜在的なものも含め差別は温床され続けるだろう。 必要なのは対話、交流による互いのアプローチ。 今後も留学同大阪は、「三世打鈴」という文化的アプローチで等身大の自分たちを表現し、日本人学生や留学生と交流し、対話を進めていこうと思う。それが結果的に、民族性を守る道となり、祖国の統一、真の朝・日友好、ひいては北東アジアの平和へとつながるに違いないと信じている。 金喜連委員長のコメント 兄2人が留学同OBだったため、大学入学後すぐに加盟した。「朝鮮」ということにコンプレックスを持ち続けていたが、留学同生活の中で民族心を取り戻した。日本の教育を受けながらも、留学同を通じ兄弟3人全員が専従活動家の道へ。巷では「愛国三兄弟」と呼ばれ多少は有名だ。人間は転機を迎えるにあたり転機を呼び込む人と出会うという。私自身、そうだった。留学同の対象となる同胞学生は多数存在する。自身に転機を迎えるきっかけを与えてくれた留学同を彼らのために強化発展させなければならない。と同時に転機を与える人間となるため常に努力していきたい。 1973年、大阪府生まれ。1995年3月、大阪産業大学経済学部卒。同年4月、留学同大阪府本部で専従として活動。01年4月から現職。 [朝鮮新報 2003.10.6] |