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高齢者事業の手本に−デイサービス「いこいのマダン」開設

 デイサービスセンター「いこいのマダン」が名古屋市北区にある名東同胞生活相談綜合センター建物内に開設された。在日の高齢者に介護保険サービスなどを提供するため、6月に愛知県から特定非営利団体(NPO)法人の認証を受けた「コリアンネットあいち」が立ち上げた。「在日朝鮮同胞敬老の日」の15日、開設祝賀披露宴が同センターで行われ約100人の同胞、日本人が参席、センター内を見学した。1部のセンター設立祝賀の集いでは、総聯本部の金鎮度委員長、名東センターの金茂生所長、「コリアンネットあいち」の申美貴理事長がテープカット。2部では披露宴が行われ、1世たちが招待された。

1年中快適に

「敬老の日」の15日に行われた開設祝賀披露宴

 10月1日から運営される「いこいのマダン」は、生活相談センター建物の1、2階の部分に設置される。2階には「コリアンネットあいち」の事務所、1階には約60uの機能訓練室兼食堂と静養室が設けられる。台所、入浴所と脱衣所、男女トイレと車椅子用のトイレ、洗面所などが置かれている。また、冷房装置のほかに機能訓練室の床の部分には暖房システムが設置され、利用者が1年中快適ですこやかに過ごせるよう細部まで配慮されている。玄関から機能訓練室の入り口までバリアフリーになっており、車椅子の利用者でも移動に支障はない。カラオケ、エレクトーンなどの娯楽施設もある。1階機能訓練室の手前はカーテンで仕切るとベッドが2つ置ける静養室にもなる。奥はカウンター式の台所で全般が見渡せる。お風呂は2、3人が同時に入れる。送迎用のワゴン車は財団に助成申請中で一般車を送迎用に登録している。センターの利用時間は平日の午前9時45分から午後4時まで。土曜日にはスタッフの研修会が行われる予定だ。

 デイサービスの内容は、送迎、健康チェック、入浴、食事、昼寝、機能訓練、レクリエーション、音楽療法、口腔ケアなど。とくに同センターは自治体で定められている自己負担金以外、利用者に一切の負担を負わせないで運営していく。当面スタッフは9人だ。支援費制度を利用した障害者への自立・生活支援事業も目指して、愛知朝高学生ボランティア6人がホームヘルパー2級を受講中だ。

 自らも3年前にホームヘルパー2級の資格を取得したという申理事長は、3年間の活動期間を通じて、介護保険も介護認定もわからなかった名東のハルモニ、ハラボジ17人全員が要支援、介護度1、2の認定を受けたことを深刻に受け止めている。「日本の福祉制度を知らないために1世同胞たちが利用できずにいる現実を目のあたりにした。愛知同胞社会の高齢者事業の手本として、スタッフ一同がんばる」と話す。

6月初旬に認定

 愛知県では4年前の1999年に「在日同胞たちの生活と権利シンポジウム」を開いたのをきっかけに、同シンポのパネラーを中心に「愛知同胞福祉連絡会」を発足、2カ月に1回のペースで会議を開き、研究を深めながら朝高での福祉セミナーを開催してきた。3年前に障害者と家族、ボランティアらがあいちムジゲ会を発足、ネットワークの輪がさらに広がった。福祉部門有識者連絡会も1年半前に発足し介護教室や福祉セミナーを企画してきた。

 一方、3年前に総聯本部と各支部に同胞生活相談綜合センターが相次いで設立されたのを受けて、名東相談センターでも週2回、食事と機能訓練などを行う「名東トンネ憩いのマダン」を運営してきた。

 同連絡会では昨年秋以降、NPO法人化を実現し、福祉関係を総合的にシステム化させる計画を打ち出した。それを受け、福祉、生活・法律相談、結婚問題など県下の同胞生活に関するすべての問題を網羅する「コリアンネットあいち」が設立された。

 名古屋市内にある日本のNPO法人団体からアドバイスを受けるなどして、昨年末から申請準備作業を進めてきた同ネットは、今年2月の設立総会直後にNPO法人の申請を出し、6月初旬に正式認定を受けるに至った。

 現在、県下の在日コリアンを主な対象に◇高齢者介護事業(デイサービス、ヘルパーの派遣、介護教室、介護保険の説明会開催など)◇障害者支援事業(障害者のための生活と自立支援活動など)◇生活・法律相談事業(相談と学習会の開催)◇子育て支援事業(託児や子育て活動の支援)◇国際文化交流事業(ハングル教室、朝鮮半島の文化や歴史を学ぶ講座の開催)―を主な活動内容としている。日本社会における共生を目指し、地域ネットワークを構築し、ボランティア活動を促進するのが目的。(千貴裕記者)

[朝鮮新報 2003.9.22]