情報操作が進む危険 |
「(取材陣の)あまりの少なさに正直、びっくりしました」 関東大震災時の朝鮮人虐殺と関連した日弁連記者会見(8月25日)の場で、関係者はこう漏らしていた。 既報のように、小泉首相あてに提出した勧告書は、歴史的な事実に基づき虐殺の原因と責任所在を明確に示し、日本政府の責任を法的な視点で初めて明らかにしたもので、注目すべき事だ。しかし、報道関係者は10人にも満たなかった。テレビ関係者と言えばゼロ。これでは報じられるわけがない。 最近、イラクの大量破壊兵器問題と関連し「情報操作」の問題が指摘されているが、これが多方面にわたっていると改めて感じる。 8月末に大邱市で開かれたユニバーシアード大会には、北の選手団、応援団も参加。市は歓迎ムード一色に包まれ、統一の熱気に溢れていた。だが、日本のメディアからはそんなことはまったく感じられなかった。北の女性応援団を「美女軍団」と揶揄しての興味本位の取材ばかり。統一の雰囲気に熱狂する南の市民の姿を不思議そうに伝えていた。統一に反対する人たちによる反北騒動ばかりクローズアップされていたが、現地で取材した本社記者は、「それはほんの一部。市内はまるで統一が成されたような雰囲気」だと言っていた。 3日、平壌で行われた最高人民会議第11期第1回会議の報道にしても、会議決定として「朝米間の核問題に関連して朝鮮外務省が取った対外的措置を承認することについて」が採択されたことを黙認あるいは矮小化して伝えていた。核抑止力強化を新たな段階に進めることを宣言したに等しい重大決定であったにも関わらずだ。あれだけ朝鮮の核問題を騒いでいたのに、と不思議に思った。 朝鮮に関しては何を言っても許される−そんな雰囲気の中で「情報操作」が着々と進んでいることに危険なものを感じる。(イ) [朝鮮新報 2003.9.16] |