各地の同胞が語る「私とサークル」−同胞登山サークル「ナビア」(東京足立) |
ある同胞登山サークルへの参加がきっかけで山のとりこになってしまった。昨年5月には地元支部にサークルを立ち上げ、仲間とともに登山を楽しんでいる。 山のとりこに 登山は私の健康を取り戻してくれた「お医者さん」と言っても過言ではない。 40代の頃から胆のう炎、子宮筋腫、そして甲状腺ガンと3回におよぶ手術を繰り返した。ガンは声帯などにも転移していた。歌が好きで、忙しい合間を見ながら支部の合唱サークルで歌うことを楽しみにしていた私にとって、声を失ったショックは今でも忘れることができない。 術後、一命は取り留めたものの基礎体力が落ち、見るからに病人の姿になってしまった。 そんな時、東京葛飾の同胞たちが中心となって運営している登山サークルがあることを知った。 「病み上がりで体力にも自信がないのに、果たしてついていけるだろうか」と不安にかられながらも、「気持ちを切り替え、心身ともに健康を取り戻したい」とおそるおそる連絡先に電話を入れた。 「一緒に連れて行ってもらえないでしょうか」−快く受け入れてくれた葛飾の同胞たちに支えられ、初めての登山をとても楽しく終えることができた。それから私は山のとりこになってしまった。今では手術していた頃がうそのように健康を取り戻し、子どもたちからも「オモニ、だんだん若くなるね」と言われる毎日。趣味が高じ、フリークライミング(手足を使い、岩だけを手がかりにして登ること)にも挑戦している。 統一祖国で登山を 四季折々の変化を感じることができる山々は、魅力にあふれている。重いリュックを背負い、つらい坂道を汗だくで登りきり、山頂にたどりついた時の爽快感は何ものにも代えがたい。早春、冬枯れの木立の間に澄みきった青い空を見る時、新緑の木漏れ日のなか、ほのかに甘さを含んだ空気を体いっぱいに浴びながら歩く時…。 今まで無縁だった世界にわが身を置くことで、健康で生きている充実感と自分の足でしっかり歩くことのできる幸せをかみしめることができた。そんな時はいつも、サークルの仲間たちと支えてくれる家族に感謝の気持ちでいっぱいになる。 山登りの魅力を地元の仲間たちとも分かち合いたいと昨年5月、足立同胞登山サークル「ナビア」を結成。栃木県の大平、晃石の各山を登った。また東京同胞山友会(練馬)の主催で行われる夏山登山にも毎年参加している。 今後も同胞たちと手を取り合いながら定期的に登っていくつもりだ。 統一した祖国の山々をみんなで自由に登りたい―そんな日が遠からず訪れることを確信しながら、次の登山に気持ちをはせている。(玄京子、主婦) [朝鮮新報 2003.9.5] |