東京で在日同胞福祉連絡会第2回総会 |
在日同胞福祉連絡会(愼英弘代表)の第2回総会が23日、東京都渋谷区の津田ホールで行われ、千葉、東京、愛知、大阪、兵庫、広島、下関の各地でムジゲ会を運営する評議員らをはじめ、事務局メンバーら30余人が参加した。結成から2年。着実な活動が軌道に乗り始めた。 幅広い取り組み 総会に先立ち、総聯中央同胞生活局の河秀光局長が祝辞を述べた。また、朝鮮障害者支援協会と南の障害者団体「明るい明日」(障害人の人権を探す会)から同会あてに送られた祝電が紹介された。 一方、東京都板橋区の心身障害児総合医療療育センター「むらさき愛育園」で看護師として働く李善玉さんが、「重症心身障害児・者施設の現状と在日同胞障害者問題」と題し講演。重度の障害者をケアする立場から、「障害者にとって生きていくことがいまだ困難な社会環境を変えていくために、まず健常者一人ひとりが障害者に対する認識を変えていくことが必要だ」と呼びかけた。
続いて行われた総会ではまず、第1期期間(01年8月〜03年8月)の活動報告が行われた。 そのなかで、大きな取り組みの1つとして進められた同会唯一の音楽サークル、「tutti」の活動が取り上げられた。 昨年4月の第1回以降毎月1度、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)での練習を欠かさず行ってきた同サークルは今年3月、神奈川横浜赤レンガ倉庫で初のステージを踏み、同会の存在を広くアピール。また、練習の合間にピクニックやクリスマス会などのイベントも催し、参加者同士の交流を深め、その輪を広げた。 また、「tutti」の活動をサポートするボランティアを通じ、人材も育成。サポートの中心となった朝鮮大学校の学生たちが卒業後、各地で朝鮮学校教員、専従活動家として活躍しながら、「tutti」で培った経験を生かしていることが報告された。 「tutti」事務局の成基香さん(朝大研究院、東京学芸大大学院)は、「朝大時代にボランティアを経験した卒業生たちが各地でその経験を生かしてくれれば、地方での人材不足を解消する一歩につながる。また、今までは参加に関して当事者任せだった部分があったが、今後は地域総聯組織の協力を得ていくことで、対象者発掘や練習会場までの送迎など活動を支えるシステム作りに務めたい」と述べた。 そのほか、初の祖国訪問、第6回DPI(障害者インターナショナル世界会議)への参加、南のNGO団体との交流など幅広い交流活動を行い、祖国をはじめ南、日本の市民らとの連帯を強めることができた。また、会報「ミレ*未来」の発行やホームページ開設などを通じ、広報活動を幅広く行ってきたことなども報告された。 同胞の障害者施設を 同胞高齢者、障害者とその家族が互いの連携を深め、同胞社会の一員として歩んでいくことを目指し結成された同連絡会。結成から2年間、福祉問題に関する同胞社会の理解を深め、当事者を取り巻く諸問題を解決するためのさまざまな取り組みが地域単位でも行われてきた。 音楽療法やシンポジウムなどを催してきた下関ムジゲ会の崔玉貴さんは、「朝鮮学校への入学が難しく、養護学校に通わさざるを得なかった子どもたちのために、地域朝鮮学校との交流を目指して活動してきた。なかなか理解が得られず難しいこともあったが、地域同胞、朝高生らの参加のもとで開いたシンポジウムがきっかけとなり、朝高生らが進んでボランティアを買って出てくれるようになった。そのような理解を励みに、今後は『tutti』のような音楽活動を地域でも行っていきたい」と述べた。 地域ごとの格差や財政問題、同胞高齢者への取り組みなど、課題もある。 愛知ムジゲ会の鄭大成さんは同胞障害者施設の設立が急務だと主張。「私たち障害者の親が亡くなった後に、子どもがどうやって生きて行くのか、それだけが心配だ。障害を持った子どもを安心して預けられる同胞の施設を作ってほしい。10、15年先を見すえてみんなで考えていきたい」と声を詰まらせながら訴えた。 結成から2年。今後も障害者の願いをかなえるさらなる受け皿作りとその充実が求められる。(李明花記者) [朝鮮新報 2003.8.26] |