朝鮮大学校吹奏楽部から「tutti」にビッグなプレゼント |
どうしようもない夏の暑さをこのひと時だけはすっかり忘れていた。 真夏の昼下がり。恒例になりつつある朝鮮大学校吹奏楽部から、同胞障害者の音楽サークル「tutti」へのビッグなプレゼント。今年もやってくれた。ベストフレンドから始まり朝鮮の歌のメドレー、ブラジル音楽の代表であるサンバ、木琴3台とドラムで紡ぐリズムとメロディは、思わず私たちの気持ちを高ぶらせ、踊りだしたい気分にさせてくれた。 「イムジン江」、「アリラン」は聞くほどに郷愁を誘い、胸が締めつけられそうになる。タクトを振る先生が昨年より若返ったが、日夜練習を重ねコンクールに出る直前のプレゼントである。 隣りで聞いていた南からの留学生は、特に朝鮮の歌を日本で聞いていると故郷のことやオモニのことが思い出されて胸がいっぱいになると、とてもうれしそうだった。 演奏の合間にそれぞれの楽器の名前や、実際にその楽器の音色を聞き分けられるようにしてくれた。私たちにわかりやすいように、私たちが音楽を身近に感じることができるように、気配りを見せる学生たち。おかげさまで音を紡ぐ楽器の名前や音も少しずつ覚えている。 同じ楽器を演奏する人たちが、左右に楽器を構えて演奏するパフォーマンス入りだ。中には、自分の体より大きな楽器を操る学生もいる。楽しい時間はあっという間に過ぎていった。 朝鮮大学校から東京朝鮮中高級学校まで、楽器の移動だけでも気が遠くなるほど大変なのに、こんなに暑い日にもかかわらず、「tutti」に演奏を聞かせるために朝から一日中かかわってくれた学生たち。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。 「tutti」のメンバーと朝鮮大学校吹奏楽部を結んでくれた音楽。「tutti」の音楽はまだスタートラインに立ったばかりだが、これからゆっくりと上を目指していきたい。そして、こうして駆けつけて励ましてくれたり、何時間も手を取り教えてくれる学生たちの真心に報いたいと思う。音楽はみなを一つに結んでくれる魔法の糸みたいだ。 この演奏を「tutti」の関係者だけで聞くのはもったいない気がする。来年、朝鮮大学校吹奏楽部が「tutti」のために催す第3回ミニコンサートは、ぜひ会場を埋めつくすほどたくさんの方々に聞いてもらいたい。 すばらしい演奏をありがとう。(林瑛純、在日同胞福祉連絡会tutti事務局) [朝鮮新報 2003.8.19] |