結成55周年迎える在日本朝鮮仏教徒協会−洪宝月会長に聞く |
仏教の教えに従い、同胞社会の和合と団結をはかり、祖国の自主的平和統一を遂げるために力を注いできた在日本朝鮮仏教徒協会(仏協)が、8月1日に結成55周年を迎える。6代目会長、洪宝月妙厳寺(東京荒川)住職(65)に話を聞いた。(まとめ、李明花記者) ―仏協のこれまでの主な活動は。 お釈迦様の教えを説き、全国の在日同胞の葬祭などを執り行ってきた。とくに初代会長を務めた柳宗黙老師をはじめとする仏協創始者たちは、日本の植民地支配時代から故郷を離れ、異国の地で生活に苦しんでいた同胞苦学生らに食事を与えたり、強制連行などにより日本で亡くなった同胞の遺骨を安置するなど、同胞のための活動に尽くしてきた。「民族性を守り、同胞のため、人のために尽くす」という仏協の原点はここにある。また、在日本韓民族佛教徒総連合会とともに、「祖国統一祈願、関東大震災70周年合同法要」(93年8月)「阪神・淡路大震災犠牲同胞慰霊合同法要」(95年4月)などを行った。植民地の犠牲となった同胞たちの無縁仏を集め、統一した祖国に安置するための活動、戦後補償の責任を日本政府に問う活動も、長年続けてきた。 ―住職がこの道を選んだいきさつは。 妙厳寺の創始者でもある私のアボジは、熱海−函南間を結ぶ「丹那トンネル」建設に従事させられた被強制連行、強制労働者だった。19歳の時、アボジは「工事中に亡くなった数えきれないほど多くの同胞の供養をするため、この道を選んだ」と語った。その言葉が今でも胸に焼きついている。 戦後も同胞の供養をするとともに、さまざまな事情で預かった遺骨を妙厳寺に保管してきたアボジが亡くなった時、金星海(2代目会長)、張泰成の両住職(3代目会長)からその意志を継ぐことを勧められ、この道に入る決意をした。20年前のことだ。そして、1994年から仏協の6代目会長を務めるようになった。 ―同胞社会では現在、民族性を守る問題が重要視されているが。 近年、若い世代を中心とした「民族離れ」の深刻化に頭を悩ませている。通名で訪ねてくる同胞、父親の本貫は分かるが、母親のそれはわからない、などという同胞にはあきれかえってものもいえない。自分の出自を隠したり、父母のルーツを知らないでどうやって先祖の代、家系を継いでいけるのか。親は「日本人に育てたつもりはない」と泣いているだろう。 お釈迦様の十戒のうち基本となる教えが「殺すな、盗むな、ウソをつくな」というもの。その教えに従い、ウリ民族式法要の伝統を継承していくことで、民族性を大事にする心を若い世代に伝えていきたい。民族の統一、世界中の人々と共存共栄する世を願い、これからも同胞とともに祈願していく所存だ。 [朝鮮新報 2003.7.26] |