正義の味方 |
弁護士というと、幼いときから「正義の味方」というイメージを持っていた。現実にはいろんな弁護士がいるのであろうが、最近の取材の過程で、その思いを強くしている。 朝鮮学校をめぐる問題で、弁護士たちが立ち上げた2つの会がある。大学受験資格問題を中心に朝鮮学校の権利獲得のために活動する「外国人学校、民族学校の問題を考える弁護士有志の会」と、朝鮮学校児童、生徒に対する暴行、暴言事件に取り組む「在日コリアンの子どもたちに対する嫌がらせを許さない若手弁護士の会」の2つだ。 弁護士有志の会は日本全国の弁護士が参加し、在日同胞弁護士も名を連ねている。若手弁護士の会は、昨年10月に弁護士になったばかりの弁護士による会。東京、埼玉、神奈川で活動する日本人弁護士14人が組織する。両方の会に属している弁護士もいる。 その日本人弁護士を見ていて感じることは、朝鮮学校に通う子どもたちの問題を、日本社会の問題、自分自身の問題だという認識を強く持っているということだ。若手弁護士の会のひとりは、「嫌がらせ被害がこれまで事あるごとに繰り返されてきたことを知り、日本社会の閉鎖性、排他性に唖然とした。どこの国の人も自分の民族のことを学ぶのは当然の権利。それが保障される社会にしていくのはわれわれ日本人の責任だ」と語る。 強制連行や「従軍慰安婦」などの過去の日本の犯罪に対する賠償請求から現在の在日朝鮮人の権利問題にいたるまで、個々人が日本政府や企業に法的な手段で訴えることが今後、ますます増えていくことが予想される。そのとき、共に闘ってくれる弁護士の存在は何よりも重要だ。 弁護士に限らないことなのだが、社会全体のことに積極的にコミットし社会をより良くしていこうと行動する人々の根底にあるのは、やはり「正義感」なのだと思う。(徹) [朝鮮新報 2003.7.8] |