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朝・日関係どうしたいのか

 「池の中の鯉みたいだった」

 「万景峰92」号の入港阻止問題で騒然とした新潟で聞いた言葉だ。総聯会館の周囲は警官によるものものしい「警戒態勢」が敷かれ、会館から少しでも顔を出そうものならマスコミの集中砲火を浴びたという。

 日本各地から集まってきた右翼は街宣車で新潟市内を走り回り、挙句の果てには本部委員長の自宅にまで押しかけ罵詈雑言を浴びせながら騒ぎ立てた。委員長の母は80を越える高齢で、恐怖と不安のため寝ることができなかった。

 このように在日朝鮮人の日常生活が脅かされているのにもかかわらず、テレビや新聞では連日のように朝鮮バッシングに熱をあげている。

 テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」は、「貿易に携わっていた脱北者」なる人物の証言をもとに、「『万景峰92』号が麻薬密輸に利用されている」などとねつ造報道を流しては、朝鮮と在日同胞に対する敵対感情を煽っている。

 総聯の各代表がテレビ朝日に抗議に行った際、担当者は「朝鮮や在日朝鮮人を貶める意図はない」と言っていたが、彼らには入港当日の新潟の雰囲気を想像する力はないだろう。朝鮮初級学校の学生が、日本学校とサッカーの試合をやった時に、「お前が拉致されろ!」と言われた事実など、彼らには些細な問題なのだろう。

 在日同胞や朝鮮を支持、支援してくれる日本の人々も決して少なくはないものの、朝鮮に対する「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な最近の日本社会の雰囲気には、怒りを通り過ぎてあきれ返る。

 「拉致をするような国は麻薬密売などなんでもしでかすとんでもない国」というイメージを植え付けて、朝・日関係をどのように持っていこうというのか。

 事ここに至っては、果たしてどこまで今のような報道をするのか、最後まで見届けたい。(松)

[朝鮮新報 2003.7.1]