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各地の同胞が語る「私とサークル」−美術活動グループHarvest99(佐賀)

 佐賀県小城郡牛津町の赤レンガ館(日本の登録有形文化財)を拠点に、年に2回の国際交流展覧会、日本の小学生を対象にした美術指導など多彩な活動を行うアーティストグループ、「Harvest99」。日本市民の呼びかけにより1999年に結成。同胞は私1人だが、その活動は着実に朝・日交流の輪を広げている。

ユンノリも紹介

 私がグループの存在を知ったのは、朝鮮大学校師範学部美術科(当時)を卒業し、地元佐賀で朝青専従として活動を始めた頃だった。広範な地域に散らばる同胞青年をつなぐ役割の一翼を担う活動に日々やりがいを感じる毎日だったが、心の底には「朝大時代に専攻した朝鮮画をはじめとする美術の知識を生かし、日本社会で生きる一在日朝鮮人として日々感じることを表現する場があれば」という思いがいつもあった。そんな時、同グループが主催する展覧会を観覧したことがきっかけで、企画、運営に携わることになった。

 同グループでは町おこし運動の一環として、さまざまなテーマをもとに年に2回、展覧会を主催している。メンバーの主な活動は、その展示作品の製作だ。毎週1回赤レンガ館で行われる企画会議は、製作中の作品を各自が持ち寄り意見交換する交流の場ともなっている。2001年2月には南朝鮮のアーティストたちとも連帯し、交流展を大邱市と赤レンガ館で同時開催した。

 地道な活動が認められ、2001年5月から月2回、同町教育委員会が主催する日本の小学生体験活動の美術部門講師も受け持っている。ワークショップでは、廃品を使った工作品の作成や手足を絵の具まみれにして自ら絵筆となって描くなど、教室ではできない体験を通して、子どもたちに美術を感じてもらう取り組みを行っている。私の提案で、朝鮮の民俗的な遊び「ユンノリ」の紹介もした。道具をベニヤ板で作り、その上に好きな模様や絵を書いて実際に遊んでみるというもので、日本の子どもたちに朝鮮文化を紹介する良い機会となった。

日本人に励まされ

 参加した当初、日本人メンバーは在日朝鮮人についてほとんど何も知らなかった。日本の植民地時代に端を発する同胞の歴史を1つひとつ説明し、地元の九州朝高で行われた文化祭にも招待した。そうするうちに理解が深まり、今年の2月には在日コリアンをテーマにした展覧会「展」を開催。9.17以降、私たちに対する嫌がらせが続くなかで、ほかのメンバーに迷惑をかけるのではと1人心配する私を逆に励ましてくれたのは、ほかでもない彼ら自身であった。「こんな時こそ展覧会を催し、沈さんのような存在をより多くの市民にアピールすることが嫌がらせの撤廃につながる」。そんな彼らの温かい言葉に、また開催期間中の5日間に訪れた500余人の市民に、どれだけ励まされたかわからない。

 今後は同胞の参加者も積極的に募り、美術を通じたより広範な交流を実現していきたい。「いつか、統一祖国と日本で交流展覧会を開催したい」−それが私の夢だ。(沈栄華、朝青佐賀委員長)

[朝鮮新報 2003.6.27]