おぎオンマの子育て日記−読者に感謝(最終回) |
結婚して遠くへ来たので、母と会うのは年に数回である。母とは気質が正反対だ。母は非常にきちんとしていて、倒れるまで休むことがない。まれに泊まりに来ると、朝から晩まで立ち働いている。自分の事さえ手に余るので、親孝行らしきものをしたことがない。ある時、母が「あんたは幸せに暮らしてるから、親孝行してるわ」と言った。修了証と免罪符を、同時に受け取ったような気がした。 チユニは、人見知りが激しかった。そのことで、私を責める人がかなりいた。苦しかった。救ってくれたのは、父の贈ってくれた育児書だ。曰く、特別に感じやすい子というのは、大抵大人になってもその性質は変わらない。育て方を責めるのは、お門違いだ。感受性の豊かさはその子の財産である。鍛えるべき所は鍛え、その性質を認めてくれる人と出会って、楽しく生きられるよう見守ればよい。ショック療法などはやらぬがよい。 生来のんきなので、落ち込んでも底が知れている。これで、夜泣き以外は急に楽になった。そのチユニが幼稚園に入り、外であったことを話さなくなった。転ばぬ先に手を出したかった私は、戸惑い、抱え込むより、放すほうがよほど難しいことに気づいた。ミリョンが、眠るサンホの耳にぐりぐりと指を突っ込み、声をたてて笑っている。チユニが宿題をしていると、後ろからしがみついて離れない。2人のいない間は、それぞれの持ち物を、2人のするように扱う。不在の人を想えるようになったのだ。その場その場がすべてである赤ちゃん時代を、終えつつある。私も、長い目で自分自身を見つめなおす時を迎えたのだ。 読んでくださった方々への感謝と、子育て中の皆さんへのエールをもって、連載終了の挨拶としたい。 アッパのひとこと−ようやく父親に 父母は、済州島から大阪に渡って来た。孫世代は10人だ。父は、18年前になくなったのでうちの子供たちを知らない。術があるなら伝えたい。思慮深く明るい妻と楽しく暮らしている。子供たちは、みな元気だ。私もようやく父親になった。 [朝鮮新報 2003.6.27] |