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〈生活相談きほんのき−パート2−8〉 高齢の祖母、南の戸籍整理できる?

 Q.高齢の祖母が「死ぬ前に南にある戸籍を整理したい」と話しています。祖母の外国人登録証明書の国籍欄は「朝鮮」ですが、戸籍の整理について教えてください。

 A.戸籍は、日本が朝鮮を植民地支配した時に導入したものですが、解放前に現在の朝鮮半島南部や日本で生まれた南部出身の朝鮮人の戸籍は、本籍地(出身地)を管轄する南の役所に保存されています。

 「韓国戸籍法」は、外国にいる国民も出生、婚姻、死亡等の身分行為がなされた場合には、国内に居住する者と同じように戸籍法による申告をしなければならないと規定していますが、在日同胞が日本の役所に出生届を提出しても、南の戸籍に自動的にその旨の記載がされることはありません。

 在日同胞は、永らく戸籍整理がされていない場合が多く、またされていても記載の錯誤などが多いのが普通です。

 しかし、本籍地や戸主等が正確に分かり、その戸籍を探し出せる場合に戸籍法上の手続きさえ踏めば、南の戸籍に身分関係を反映させることができます。

 戸籍整理申請とは、出生、認知、養子縁組、婚姻、死亡等によって、入籍または除籍されなければならない者が戸籍簿に整理されていない時に、本人または利害関係人がする申請をいいます。

 戸籍整理の申請は原則的に本人の本籍地、または申告人の住所地(「韓国」内のこと)の市、邑、面の事務所にしなければなりません。しかし、在外国民の場合は、その地域を管轄する「駐日韓国領事館」の長に申告または申請をすることができると規定しています。

 また、南の政府は、海外に長期間居住する国民の特殊な状況を考慮し、それらが簡易に戸籍簿に登載されるよう特例法を制定しています。

 この特例法による手続きは、戸籍法による一般手続きに比べて添付書類が簡単で、その費用を国家または地方自治体が負担してくれます。ただし、この特例法による申請ができる在外国民は、「大韓民国国民として在外国民登録法の規定によって登録された者に限る」とされています。そして、この在外国民登録をする際には、「韓国」表示に変更をした外国人登録記載事項証明書の提出を求められます。

 したがって、外国人登録上の国籍欄を「朝鮮」から「韓国」に変えなければ、駐日韓国領事館での申請はできません。

 この特例法は、在外国民の便宜のために戸籍法上の一般手続きに対し、特例を認めただけであり、戸籍法上の一般原則により申告しても構いません。

 つまり、在外国民は、特例法による手続きのほかに、戸籍法による一般手続きに依って本人の本籍地を管轄する市、邑、面の長に直接、郵送等により申請することもできます。この場合には、外登上の国籍欄の変更を求められることはありません。

 結論を言うと、「朝鮮」表示のまま戸籍を整理することもできますが、特例法で「国民登録」が要件になっていることや、外登上の表示を「韓国」に変えても戸籍を取得できなかった過去のケースなどから、実際の手続きには非常な困難が予想されます。

 また、外登の国籍欄の表示を「朝鮮」から「韓国」に変えた場合、再び「朝鮮」に変えられない点も留意すべきでしょう。詳細については、同胞専門家や同胞生活相談センター等にお問い合わせください。(尹炳泰、司法書士、大阪コリア法律生活相談センター相談員)

[朝鮮新報 2003.6.24]