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〈6.15北南共同宣言と在日同胞社会−4〉 「白頭から漢拏まで」

愛する民族の宝

 「祖国統一が実現すれば、漢拏山や伽倻山はもとより白頭山や金剛山、妙香山など朝鮮全土の山を回りたい」―在日朝鮮人登山協会会長で1世の金英さん(77、東京都町田市在住)は、9年前の4月、西東京登山協会初代会長就任時、裏庭とも言える東京高尾山登山を終えて記者のインタビューにこう答えた。

朝鮮半島最南端、漢拏山に登った在日朝鮮人登山協会のメンバー(2002年9月)

 それから8年が過ぎた昨年9月、金さんは同登山協会メンバーとともに南を訪れ、その間に征服していた白頭山、金剛山、妙香山に続いて漢拏山、智異山に登り、早くも念願の夢を実現させた。

 祖国統一が実現したわけでもないのに、金さんらの往来、交流が可能になったのは、6.15共同宣言発表後、時代の流れが着実かつ確実に統一へ向け進んでいからだ。

 これまで、統一実現を願う思いを込めて「白頭から漢拏まで」という言葉が口にされてきた。朝鮮半島最北端の白頭山と最南端の漢拏山を制した団体としては、南側の白頭山観光団(109人、2000年9月)、済州道民訪問団(255人、2002年5月)が存在する。

 金さんは5大名山を制覇してみて、「国は分断されていても北も南もわが国、わが地。決して分かれてはいけないと痛感した。民族、血脈もひとつで、切り裂くことはできない。これからもさらに多くの山に登り、民族の財宝を愛していきたい」と言う。

 登山協会では、98年の金剛山、昨年の漢拏山、智異山に続いて、共和国創建55周年を迎える今年9月、白頭山、妙香山、七宝山登山を予定している。

親ぼくから和解へ

 北の山も南の山も民族の宝であると語る金さん。その思いは、「南の登山家たちとともに南の山に登る過程で、分断によって抱いてきた違和感が解消され感じるようになった」と強調する。大自然を満喫する登山はその即効薬≠ニ言える。

 これまでは同胞愛好家との登山を通じて同胞間の親ぼくを深めてきた金さんだが、今は彼らとともに民族の和解と協調に向け、登山を楽しんでいる。

往来、交流拡大に

 南では招請先の大韓山岳連盟と交流を深めた。

 「驚いたことは、少なくない連盟の関係者らが、北と何らかの接点を持っていたことだ。合弁をはじめ、各地域、さまざまな形で支援運動に参加していた。ただの登山愛好家ではなく、民族の繁栄、国の統一に実際の行動を持って貢献している愛族的な登山家たちだった」(金さん)。

 山岳連盟は約100万人を網羅する。同連盟と約1万人の在日同胞を網羅する登山協会との交流は、互いの誤解を解き、理解を深めていくための往来、交流を拡大していくことにつながる。

 日本の植民地支配、祖国の分断を体験してきた金さんは、在日同胞、わが民族にこれから求められることについてこう語る。

 「民族を奪われ、さらには国が分断された要因は、米国などの外部勢力にある。だからわれわれは力を合わせ、団結を強めなければならない。そして、経済など各分野を共に発展させていけば、それが国を再びひとつにし、民族を繁栄させていくことになる」

 「民族大団結」の意味を、登山を通じて確認した金さん、意気軒高だった。(羅基哲記者)

[朝鮮新報 2003.6.7]