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池坊政務官の手紙

 5月中に朝鮮学校を訪問すると約束した池坊保子文部科学省政務官が、訪問を延期した。大学受験資格問題と関連して、学校訪問を要請した東京中高の女生徒(高3)に宛てた手紙の中で明かしたという。そして、「あなたが卒業するまでに行きます」と付け加えられていたそうだ。

 池坊氏は、外国人学校への大学受験資格を求めている公明党に所属、同時に差別的な方針を出した文科省の幹部でもある。微妙なポジションにいるものの、数年前からこの問題に独自に取り組み、国会で精力的に質問をしてきただけに、延期の知らせは残念だった。

 池坊政務官とこの女生徒が会うのはおそらく初めてだったろうが、当事者の訴えが胸に響いたのか。文科省の役人を連れて朝鮮学校に行く決心は固かったように見えた。近日中に必ず朝鮮学校を訪れて欲しい。

 生身の人間の訴えが持つ力は大きいが、記者自身もこの問題の取材を通じて人と出会い、その過程でいろんな事が見えてきた。

 決定が報じられた直後にいた大阪では、民族学級の講師らが声明を発表する場に立ち会った。「公立学校に在籍する子どもたちにとって民族学校の資格が認められていないことは、(民族学校への編入など)進路選択に大きな影響を与えている」という声明のくだりでは、日本の学校に埋もれた同胞の子どもたちに思いを馳せざるをえなかった。さまざまな事情により、民族学校に通えない子どもの将来にも関わることだと。

 今でこそインターハイなど全国大会における朝鮮学校生の活躍は当たり前になったが、地方予選で好成績を重ねている大阪朝高ラグビー部の監督は、「何のために権利を獲得するのかが一番大事だ」と説いていた。獲得した権利をもって子どもたちをどう育てるのか。ビジョンを欠いた権利運動は意味がないという指摘だ。

 内と外。さまざまな事が問われている運動だ。(慧)

[朝鮮新報 2003.6.3]