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各地の同胞が語る「私とサークル」−練馬トラジ登山会(東京)

 今年で20年目を迎える、練馬トラジ登山会。「1人でも2人でも、参加者がいる限り決行する」をモットーに、日本各地の山を登りつめてきた。地域同胞、日本市民とともに、きつい坂道を歩き、頂上にたどり着いた時の爽快感は何ものにも代えがたいものだ。

逆療法

 山と出会ったきっかけは、38歳の時に患った重度の椎間板ヘルニアがきっかけだった。寝ても立ってもいられず、ひどい時にはトイレにも這っていくような状態で、痛みをこらえ、冷や汗を流しながら死ぬ思いで用を足した。3年の間、ヘルニア治療で評判の高いといわれる関東近郊の病院を10カ所以上訪ね回ったが、高額の治療費のわりにはちっとも病気は良くならなかった。

 腰痛には背骨の筋肉を鍛えるのが一番だといわれる。現代医学、鍼、灸などさまざまな治療を試した結果、たどり着いたのが、登山であった。

 「この際、逆療法で『山登り』にチャレンジしてみようではないか」と半ばやけっぱちで思い立ち、1時間強で行ける秩父へ向かった。

90歳まで

 痛む腰をかばいながらの「へっぴり腰」で初めて登った山。そこには、緑一色の木々、名も知れぬ可憐な花々、東京では味わうことのできない新鮮な空気があった。マイナスイオンに囲まれながら、日々の生活でストレスにまみれた心身が癒されるひと時…。

 自然の美しさに目を奪われながら、汗だくで坂道を上がっていくうちに、あんなに重かった腰が軽くなっているのに気づいた。「山こそ私の名医だ!」と、山に感謝感激した私は、それからは休日のたびに山に向かうようになった。最初は1人歩きの山行も、そのうち友が友を呼び、5人、10人規模のグループが自然にできた。

 「体が資本の世の中、健康のために、練馬に住む同胞、日本の友人、民団の知人にも幅広く呼びかけて、地域みんなで楽しめるハイキングにしよう」と考えた私は1984年4月、「第1回武蔵横手〜高麗、日和田山コース」ハイキングを企画。参加者は予想を超える40人となった。練馬トラジ登山会の幕開けである。

 北アルプス、南アルプス、白馬岳、槍ヶ岳、穂高、燕岳、中央アルプス、甲斐駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳、北岳、鳳凰三山、立山、安達太良山、奥秩父、金峰山、両神山、武甲山、秩父御岳…。結成以来登った山々は数知れない。最近ではホームページも作成、山登りの様子やお知らせなどを掲載している(URL=http://www9.ocn.ne.jp/~toraji/)。

 今後も80、いや90歳までは青春の「心、技、体」を忘れず、5000年の歴史を誇る祖国の山々を6.15北南共同宣言実現の喜びとともにみんなと歩く日が1日も早く訪れることを願っている。(「正煥、会社経営)

[朝鮮新報 2003.5.30]