おぎオンマの子育て日記−蓄えのある大人になりたい |
6年生の日本語の授業を、中級部の先生が担当していた。相性が悪く、教室は乱れた。最初はチョークを投げる程度だった先生も、たまりかねて手を上げるようになり、私たちも、ますます反抗した。ある時、女生徒が黒板消しで叩かれ、頭と顔が真っ白になった。私たちの堪忍袋の緒は切れ、抗議すべく一計を案じた。 2年前に学校を半焼する火事があって以来、防災頭巾を座布団にすることが義務付けられていた。次の授業で、40人全員がこの頭巾をかぶり、無言で起立した。先生は耳まで真っ赤にして怒り、退出した。その後、誰からもお咎めがないので、かえって不安になった。終わりの会に、日本語の教科書を携えた校長先生が入ってきた。穏やかで、緊張感のある授業を60分以上も当たり前のようにされた。そして「先生も熱心に授業しています。君たちも一生懸命勉強しなさい」と、おっしゃって、やっと放免された。 先生方の間で何があったか知る由もないが、大人はあなどれないと思ったものだ。最近、あの事件を時々思い出す。子供の行く末を見据えつつ、いざという時に子供をうならせる、蓄えのたくさんある大人になりたい。この点で、私は完全に夫に劣る。「脅迫のオンマ、根気のアッパ」なのだ。転んで死んでもいいと思わないと、自転車に乗れるようにならない、バスに遅れる子は友達がいなくなる、野菜を食べなければウンコが詰まって死んでしまう…。 すぐに涙がこみ上げるチユニと真に受けて怖がるサンホ。寝顔に謝る日々だ。ミリョンが2度目に絵本を破ったので、「こら!」と声を荒げた。すると、しばらく白目をむいた。「どう? オンマにそっくりでしょ」と言いたげに、にやりと笑う。あなたは私の安全装置。 アッパのひとこと−子供の職業 朝鮮人でも、地方公務員になれる時代になった。日本の親が、子供に就いてほしい職業で、公務員はいつも上位にあげられる。アホかと思う。「公務員」は職業の名前ではない。やりたいことを示してもいない。夢のある子供、応援できる親がいい。 [朝鮮新報 2003.5.24] |