〈生活相談きほんのき−パート2−4〉 日本人と「事実婚」子どもの国籍は? |
Q.在日3世の同胞女性ですが、日本人男性といわゆる「事実婚の夫婦」です。今後も「婚姻届」を出すつもりはありませんが、もうすぐ子どもが生まれます。子どもの国籍はどうなりますか? A.婚姻届を出していないカップルに子が生まれた場合、まず子は「出産」という事実により、母親の国籍を取得します。ですから、子は「朝鮮」であれ「韓国」であれ、母親と同じ国籍表示になります。 この相談の場合、日本人の父親が子の「認知」をいつするのかによって子の国籍は異なってきます。子が生まれる前に日本人の父親が「認知」をする「胎児認知」の場合、子は出生と同時に父親の日本国籍も合わせ持つことになり、重国籍となります。ですから、子を母親と同じ国籍表示にしたいのであれば、子は日本国籍離脱の手続きをしなければなりません。 ※国籍離脱の手続きは住所地を管轄する法務局または、地方法務局の国籍窓口で行います。 申請手続きに必要な書類―@国籍離脱届(市町村役場の申請窓口に置いています)A離脱者(子)の戸籍謄本B親の外国人登録記載事項証明書C離脱者の住民票(子が15歳未満の場合、法定代理人あるいは親権者による届け出になるので、その資格を有する旨を定めた書面)D印鑑―が受理されると、1〜2週間後に法務局から「通知」が送られてきます。離脱者(子)はこの通知を持って、最寄りの市町村役場で在留資格と外国人登録の新規申請手続きをする必要があります。 なお、子が生まれた後に父親が「認知」をする場合、子の国籍に変動はありません。子は母親と同じ国籍表示になります。 相談事例を挙げながら説明します。 ◇「朝鮮」表示の同胞男性からの相談。内縁関係にある日本人女性との間に2歳の子どもがいて、生まれてすぐに認知はしました。子どもに「朝鮮」表示を取得させることはできますか? この相談の場合、子が日本国籍を離脱して「朝鮮」「韓国」表示を取得することは非常に困難です。 朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)国籍法には「共和国政府への請願による国籍の取得」という方法がありますが、日本政府が共和国国籍法を認めていないため、子どもは日本国籍を離脱できません(日本国籍の離脱はすでに外国の国籍を保持していることが大前提になるためです)。 また、97年に改正された韓国国籍法によると、韓国人が婚姻外に生まれた子に韓国籍を取得させるためには、認知をした後に韓国法務部長官に申告しなければなりません。例えば、父親が韓国籍の場合、駐日韓国領事館で手続きをすれば、子は韓国籍を取得できます。しかし、相談事例のように「朝鮮」表示の同胞の場合、駐日領事館で手続きをすることは国籍変更を求められることもあり得るので、手続きは非常に困難です。 日本人との内縁関係で子どもが生まれる場合は、出生前に「胎児認知」だけでもしておくと、後々子の国籍取得手続きはスムーズに行えます。「胎児認知」は最寄りの市区町村役場の戸籍係で行います。 (同胞法律・生活センター、〒110―0016 東京都台東区台東3―41―10、TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429 ) [朝鮮新報 2003.5.21] |