総連中央委員会第19期第3回拡大会議−徐萬述議長の報告 |
中央委員のみなさん! われわれは内外の情勢が激変し反動勢力の反朝鮮、反総連、反朝鮮人策動が前例のないほど悪らつになる中、積み重なる難関に立ち向かっている過程に、今回の総連中央委員会拡大会議を開くことになった。 今中央委員会拡大会議の目的は、愛族愛国運動と同胞が置かれている実情と諸般の状況を直視し、団結した力で総連と同胞社会、同胞の利益を守るために、現時点で力を注ぐべき課題とそれを遂行するための対策を討議することにある。 1.19回大会決定の執行状況 1)執行のための主な対策 総連第19回全体大会は、金正日総書記の教えを具現し、新しい世紀の要求と変化した環境、同胞らの志向を反映した21世紀の在日朝鮮人運動の進路、われわれが目指す在日同胞社会の姿をはっきりと示した。 われわれが歴史的な道筋を立てた21世紀の進路は、主体性と民族性を守り、新しい世代を主人公に、在日朝鮮人運動を各界各層の同胞らを網羅、幅広く発展させていくことだ。 全体大会ではまた、活動方法を決定的に転換させ、総連を同胞らから支持を受け愛される同胞大衆組織として作り上げ、大多数の各界各層同胞らを網羅することを、第20回全体大会までの最終目標として定めた。 第19回全体大会後、米ブッシュ政権の「反テロ戦略」により、われわれを取り巻く情勢はより厳しくなり、民族の自主性と尊厳を守るわれわれのたたかいの前には大きな難関が作り出された。 在日同胞社会では、民族性を守るのか、抹殺されるのかという対決構図がより明確になった。 中央委員会第19期第2回会議は、民族性を守ることを同胞社会の存亡と関連する根本問題として提起し、活動家と同胞らに同胞社会とわが民族を守るために立ち上がることを呼びかけた。 そのために総連は、愛族愛国の民族団体、幅広い同胞権益擁護団体としての総連の性格をより明確にし、教育文化事業と同胞生活奉仕活動を総連事業の2大中心柱として推し進めることにした。 2)平壌宣言後の経験と教訓 昨年9月17日、総書記が日本の総理と会談して発表された朝・日平壌宣言は、朝・日関係を正常化する画期的な契機に、アジアと世界の平和、安定に寄与する世紀的な出来事となった。 また、在日同胞らの運命開拓でも、明るい展望を約束する大きな意義を持つものだった。 しかし昨年初、朝鮮を「悪の枢軸」と騒いだ米ブッシュ政権は、朝鮮を孤立圧殺するために、朝・日平壌宣言の履行と朝・日国交正常化を妨害してきた。 拉致問題は、極めて非正常的な朝・日関係の中で一部の妄動分子がしたことで、朝鮮の理念と法に反する絶対に許されない犯罪行為であった。 わが国ではこの事件について遺憾の意を表し、責任者の処罰と事件の再発を防止する措置を講じ、拉致被害者に対する最善の誠意としてできるすべてのことをした。 にもかかわらず日本当局と反動勢力は、わが国の善意に対して悪意で対応し、事態を複雑にした。 とくに心が痛むことは、活動家と同胞らが拉致の事実から大きな衝撃を受け、彼らの祖国と総連を信じてきた心が揺れ動いたことだ。 総連中央は、それまで祖国では拉致はありえないと信じ、それを反動勢力の謀略とみなしてきた。 しかし、拉致事件の事実が明らかになったことで、総連中央が活動家と同胞らに間違ったことを言ってきたことになった。 これについて総連中央は深刻に振り返り、申し訳なさを禁じえなかった。 反動勢力は祖国と総連、総連と同胞らを離そうとし、総連組織を瓦解しようとする謀略戦、心理戦を長期にわたって強行してきた。 こうして総連と同胞らは、結成以来、最悪の危機的状況に陥った。 この危機状況は、ブッシュ政権の世界戦略、朝鮮孤立圧殺政策、総連瓦解策動を日本の反動勢力とマスコミが作り上げたところに、本質がある。 こんにち、総連と同胞らが直面した難局は昨年9月以降に初めて発生したのではなく、これまでのわれわれを取り巻く環境と総連事業とも関連していた。 とくに1990年代に旧ソ連と東ヨーロッパの各国で社会主義が崩壊したことと、祖国が直面した今までにない困難、日本のバブル経済の崩壊と長期化する不景気、一部の朝銀の破たん、厳しさを増す反動勢力の策動、同胞社会における世代交代などが同胞らの思想意識と生活に大きな影響を及ぼした。 変化した現実と同胞らの志向、内外反動勢力の策動は、それに対応できる総連組織と活動家の面貌を革新し、活動方法を転換することを求めたほか、総連はそのために努力してきたが、解決できなかった問題も少なくない。 総連中央はこうした事態の中で、すぐに活動家と同胞らの中に入り、共にこの難関を乗り越えていくための活動に積極的に取り組めず、活動家と同胞らの不安をやわらげることができなかった。心労を与えたことに自責の念を禁じえない。 総連中央は直接、現地の活動家と同胞らの中に入り、苦労を共にし気持ちを一つにしてこそ、この難局を乗り越えていけるという決心をした。 そして昨年末から5カ月間、中央常任委員をはじめとする中央のメンバーらは毎月半月ずつ、本部と支部に入って苦労と苦痛を背負っている本部、支部、団体の活動家らと共に同胞らの中に入って活動した。 本部、支部、団体の活動家と共に同胞らの中に入り、祖国、総連の組織と事業方針について知らせ、情勢と内外反動勢力の策動に対する総連の見解と立場を説明・応答する学習会、講演会、懇談会、訪問談話などを行った。 活動家は、同胞らが提起する問題に真しに耳を傾け、率直な意見も交わした。 同胞らが心に抱いている問題を活動家が知り、信念を持ってそれを解決しようとする過程で、同胞らは活動家と気持ちを共にするようになった。 われわれが得た教訓はまず、こんにちのような厳しい環境の中でも、最後まで総連を信じ、同胞社会を守ろうとする同胞らがいかに愛国的で、こうした同胞に依拠して団結すれば、いかなる困難も乗り越えられるということだ。 教訓はまた、活動家、とくに組織の責任者にとって重要なことは、いかなる情況の中でも総書記に対する忠誠心、祖国と総連組織に対する信念を持って総連組織と同胞らと接し、自らの使命と責任を果たすということだ。 教訓は次に、総連の組織体制と事業態勢を活動家が上下一つになり、組織の力量を同胞らとの活動で最大限発動すれば転換できるということだ。 経験は、過去5カ月間の組織体制と事業態勢が臨時的なものではなく、総連本来の正常的な姿に戻らなければならないことを示した。 2.団結し総連、同胞社会守る 中央委員のみなさん! 総連を守ってこそ、同胞の民族的尊厳と権利を守り、安心して暮らせる同胞社会を発展させられるということは、半世紀にわたる在日朝鮮人運動の歴史的経験であり、実生活を通じて体験している真理である。 1)20回大会までの主力事業 (1)総連内の団結を確固としたものにすることは、こんにちの難局を乗り越えていくうえでの基本問題である。 活動家たちの一致団結と広範な同胞の支持と信頼により組織と同胞が心を合わせること、これが危機的状況を打開し前進するための私たちの不敗の力、担保である。 同胞は自らのたたかいと生活を通じ、総連があったからこそ団結でき、団結した力で立ち上がった時にだけ民族的尊厳と権利を守ることができるということを体験している。 団結は、総連と在日同胞が長い民族愛国運動を通じて成し遂げ、今後も受け継ぐべきもっとも貴重な伝統である。 (2)総連は民族性と同胞社会を守るための事業を同胞大衆運動として力強く展開する。 @われわれは同胞の中で民族性を守り、引き継ぐための運動を本格的に推進する。 民族性を守れなければ、在日同胞社会は存続できない。 民族性を守るたたかいでこんにち、焦眉の課題は新しい世代をはじめとする同胞の中で民族性に関する啓蒙事業を展開し、民族的なつながりを広げることで「帰化」と国際結婚の増加を防ぐことだ。 総連は民族性を守り引き継ぐうえで担った使命と責任を胸に、民族性を継承するための事業を、各界各層を網羅した全同胞社会的な運動としてより力強く、幅広く展開するための組織的な対策を講じる。 在日同胞の中で民族性を守る事業の基本は、民族教育事業である。 こんにち民族教育事業を強化、発展させるうえでの中心的課題は、総連中央常任委員会第19期第14回会議決定を執行し、初中級学校を総連が運営する幅広い同胞民族学校として発展させることだ。 われわれは改編された教育内容と民族教育の優越性を広く解説し、朝鮮学校の生徒数を増やす事業を全組織的に推進する。 教育会は学校運営事業に専念し、父母をはじめとする同胞の中で学校支援事業をより広範に行うようにする。 われわれは、朝鮮学校卒業生の日本大学入学試験資格を必ず勝ち取り、学校への寄付金をはじめとする不当な差別を撤廃させ、教育権の擁護拡大で新たに前進することで民族教育の安定した位置を獲得する。 A次に総連は、「同胞生活相談綜合センター」を再整備し、実りある運営を通じて同胞生活に対する奉仕事業を新たな段階に発展させる。 正常化した「同胞生活相談綜合センター」では、相談案件の解決件数を伸ばし、生活情報誌の普及数を地域同胞の過半数以上に拡大し、まだその機能を十分に発揮できていないところでは至急、事業体制を整え、総連の生活奉仕網に各界各層の同胞を網羅する。 そして、すでに年間1万件の相談を受け付け50%を解決している「同胞生活相談綜合センター」事業を今後、年間1万件の相談案件解決にまで実績を高める。 本部と支部は同胞高齢者、障害者に対する年金差別が続いている中、地方自治体に対して救済措置の実施を求める運動をより力強く展開する。 B総連は、同胞商工人に有利な経済活動条件と環境を整えるため努力する。 現在、同胞商工人は10余年にかけて続いている日本経済の不景気とデフレの中で、経営縮小と不良債権処理、資金調達の困難など、これまでになかった経営難に陥っている。 総連は、同胞商工人に対する日本当局の差別を是正し、彼らの諸般の権利を守るための対外事業を多角的に展開する。 また、同胞や商工人が望むように同胞信用組合の力をより大きく育てるためすべての努力を傾ける。 商工会は、同胞商工人の企業経営を実質的に手助けする同胞経済団体としての機能と役割をより高め、業種別協議会を強化することなど主動的な対策を講じ、同胞業者ネットワークに基づいた同胞経済圏を形成・発展させるためにより多くの力を注ぐ。 C総連は、同胞の生活と権利を守るための対外事業に格別に力を注ぐ。 われわれはとくに、朝鮮と総連に対する日本のマスコミの謀略的な世論操作に法的訴訟と大衆的な抗議をはじめとするたたかいで立ち向かい、われわれの事業環境と同胞の生活を守っていく。 総連は、対外活動を同胞の生活単位でより強化し、日本の地方自治体と有力な地域団体、地域住民との事業に積極的に取り組む。 2)機能強化と事業方法改善 (1)こんにちの危機状況を打開し、愛族愛国運動を新しく高揚させるためには、総連支部に対する支援体制を立て、支部事業を革新しなければならない。 われわれは総連中央をはじめとする各級機関と団体、事業体の専従活動家がそれぞれの単位における事業を保障しながら、分会とともに総連支部の役職と分担を受け持つ組織的な措置を講じる。 そして地域単位の責任者と非専従役員、支部管下に居住する専従活動家たちが支部常任委員会メンバーとしての役割を果たすための対策を立てる。 「活動家は同胞のなかに! 事業は支部中心に!」―すべての活動家はこのスローガンを掲げ、同胞たちのなかに積極的に入り、地域同胞社会の総合的な拠点としての支部の機能を大きく高め、分会をサポートしていく。 本部と支部では「ウリハッキョ、ウリトンネ新しい姿運動」、民族、同胞、学校愛を運動の中心に据えた「民族を愛する3大運動」など、分会委員と熱意あふれる同胞たちが企画、推進している多様な運動に新しい世代をはじめとする広範な同胞を網羅していく。 (2)こんにち、総連活動家が担う使命と責任はとても栄誉あり、重大である。 すべての活動家は祖国と民族、同胞と次世代の前に担った使命と責任感をしっかりと認識し、良心の限りに尽くす民族愛国活動家、同胞の奉仕人として徹底的に準備しなければならない。 こんにち、新しい世代の活動家育成問題は総連の全組織が関心をもって取り組まなければならない重要な問題であり、この問題が解決すればこそ、民族性と同胞社会を守っていくことができる。 新しい世代の活動家を育成、補強するため、朝大と朝高の朝青活動を強化する一方、各級機関は彼らの生活条件を保障するための対策を格別に立てるべきである。 総連のすべての組織は、顧問をはじめとする非専従活動家が重大なこんにちの歴史的時期に役割を果たせるよう、彼らの愛族愛国の熱情を積極的に呼び起こしていく。 (3)総連事業の幅を各界各層同胞たちの間に広めるためには、団体がその役割を高めなければならない。 総連中央はもちろん本部と支部では、階層別各団体にその政策と方針を正確に伝え、事業の幅を対象同胞たちに広めるため原則性と円熟性を結合させ、特性と自立性、創意性を発揮していく。 すべての組織が女性同盟組織と活動家を尊重し、彼らの地位と役割を高め、才能と活動力ある女性活動家を総連の各分野における責任活動家として積極的に登用すべきである。 また、同胞社会で活躍している有資格者と専門家女性たちの力を発動し、在日同胞女性運動を新しい段階に高めなければならない。 (4)総連は本中央委員会を契機に、総連の見解と立場を中央が対内外に随時知らせ、総連の情報宣伝事業を組織展開する「広報室」を総連中央に設ける。 「広報室」は、情勢と内外の動向を毎日毎時刻、総合的に分析し、総連の対応策を迅速かつ正確に立て、記者会見、談話発表、「朝鮮新報」とインターネットを始めとする報道通信等の手段を発動し発信する情報宣伝事業を主導的に展開していくだろう。 (5)われわれは情報化時代の要求に沿って、総連事業の情報技術化を促進する。 総連は中央「情報通信推進室」の機能を高め、中央と本部、支部、団体、事業体間にインターネット連絡網を整備し、各種資料の提供と情報の交換、同胞社会の出来事を共有し、総連事業をより活性化していく。 また、総連映画製作所の「エルファネット」と107の各級総連機関に設けられたホームページを100%利用し、祖国と総連、日本と世界の出来事を広く知らせ、同胞生活に必要な情報を幅広く提供していく。 そして総連中央のホームページに「同胞生活相談室」を新しく設け、各級学校をインターネットでつなぐ「総連民族教育ネット」(仮称)を開設する。 3)祖国擁護、平和守り統一を 全世界の一致した反対と糾弾を無視し、イラクに対する侵略戦争を敢行した米ブッシュ政権は今、攻撃の矛先を朝鮮の孤立、圧殺に集中させている。 こんにち、朝鮮半島においては戦争を防ぎ平和を守り国と民族の自主権と生存権を守るための先鋭したたたかいが繰り広げられ、世界の耳目は朝鮮に向けられている。 こうしたなか、わが国は4月末に北京で行われた朝鮮半島問題に関する会談で朝米双方の憂慮を同時に解消することの出来る新しく寛大な解決方途を提案した。 朝鮮半島の平和と核問題の解決は、まさに米国がわれわれの寛大な提案にどのように応じるのかに全的にかかっている。 総書記の指導で、強硬には超強硬で対することのできる強力な自衛的国防力と物理的抑止力を持ったわが国を誰も侵すことはできず、米国はわが祖国の提案を受け入れるしかないだろう。 また、朝・日関係も現在、日本が米国への追従下、複雑な状況を作り出しているが、朝米関係の前進に伴い朝・日平壌宣言の精神と内容そのまま、正常化の道に歩み出すだろう。 (1)こんにちの先鋭な情勢下で在日同胞たちの祖国、保護者である朝鮮を擁護していくことは、総連と在日同胞たちの良心であり任務である。 祖国の歴史は、祖国こそ人民が主人になり、国と民族の自主権を生命として守り、すべての同胞を祖国統一と平和へと導こうとする旗じるしであることを業績を通して示している。 在日同胞たちが日帝時期の恨みのこもる日本の地においても自主独立国家の海外公民としての民族的尊厳と権利を持ち、次世代を民族の息子、娘として学び育つように同胞愛的な国家施策と配慮を注いでくれたのは朝鮮だけである。 総連は、良い時も困難な時も祖国と共にあるだろうし、民族愛国路線をさらに固く守って行くだろう。 すべての組織において、同胞たちが祖国を熱烈に愛し、米国に堂々と立ち向かい自主権を守っている祖国を持った矜持に溢れ、朝鮮創建55周年を地域別、階層別の多彩な政治、文化行事で飾る同胞大祝典で慶祝すべきだ。 (2)朝鮮半島における戦争の危険を防ぎ、平和を守ることは切迫した民族的課題である。 6.15北南共同宣言の発表後、民族自主統一の新しい時代が開かれ、北と南において政治と経済、文化を始めとする幅広い接触と交流が行われるようになり、断たれた民族の血脈と地脈がふたたびつながれようとしている。 しかし、米国が平和と安定を蹂躙し現在、朝鮮半島ではわが民族対米国との対決戦が繰り広げられている。 総連は、「わが民族同士」の理念の下に各界各層の在日同胞の間で民族団合をさらに強化し、外勢とそれに追従する反統一、分裂勢力を糾弾、排撃し、全民族の反戦平和と自主的祖国統一運動に合流して行くだろう。 4)総連中央の組織機構改編 総連中央は本中央委員会が20全大会を目指して提起した課題と対策を責任を持って組織、執行できるよう中央常任委員会の機構を改編する。 これについて本会議の第2議案で提起し、総連中央常任委員会の機構改編案とそれに伴う規約改正案審議委員会にその討議を委任する。 [朝鮮新報 2003.5.13] |