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各地の同胞が語る「私とサークル」−パヌジルサークル(山口)

 「世界にひとつしかない私だけのチョゴリを着てみたい…」−そんな思いからパヌジル(縫い物)サークルの門をくぐって7年。今ではエプロンやバッグ、タオル地にレースなどを縫い合わせた家庭用インテリアグッズなどレパートリーも増え、「作る楽しみ」を実感する毎日だ。

世界にひとつ

 宇部から下関に嫁いだ5年後に長女が生まれた。新しい土地で家族以外の知り合いも少なく、家事と育児に追われる毎日を過ごしていた時だった。

 「チョゴリを縫ってみない?」−地元女性同盟支部の誘いに初めはとまどいながらも「素人にもできるのだろうか?」という好奇心に駆られて1996年9月、当時会場となっていた山口県朝鮮会館を訪れた。初めての「新しい同胞社会へのデビュー」とあって多少緊張もあったが、20〜60代までのメンバーはそんな私を快く迎えてくれた。

 初参加の日から早速チョゴリ作りに取りかかった。まず自分の体型に合った原型を作り、オーガンジーやサテンなどお気に入りの素材を型紙に合わせて裁断していく。あとは一針一針丁寧に縫っていくだけなのだが、チョゴリ作りは「一人前になるには10年はかかる」ともいわれるだけあって、なかなか難しい。上着の脇の部分などはとくに複雑だ。しかし崔海順講師の指導を受けながらコツコツと製作に励んだ結果、3カ月がかりでやっと初作品を仕上げることができた。

 「世界にひとつしかない私だけのチョゴリ」―。投げ出したくなることもあったが、最後の一針を縫い終えた瞬間の感激と喜びは今でも忘れられない思い出となっている。

 「女性同盟50周年記念山口県本部祝賀大会」の2部ではチョゴリファッションショーを催し、当時4歳の長女とともに自作のチョゴリを披露。舞台に上がり、観客席から盛大な拍手を受けた瞬間、私もやっと下関同胞社会の立派な一員として認められたようなうれしさでいっぱいになった。

学校支援にも

 ファッションショーが一躍評判となり、他地方から嫁いできた若いオモニたちを中心にメンバーが急増。多い時には18人にもなり、エプロン、ママさんバッグ、手提げ袋などの作品が次々と誕生した。タオル地にレースや花びら模様の飾りを縫いつけた家電カバーや小物入れなどにトライする新婚さんも多く、作品を毎回の教室で発表する時は、いつもプロ顔負けの出来栄えに歓声と拍手が鳴り止まない。

 既製品と違って、主婦ならではの工夫を凝らしたオリジナルな使いやすさが地域のオモニたちにも好評だ。地元の下関朝鮮初中級学校で催されるバザーなどにも欠かさず出品、学校支援の一助にもなっている。

 一本の針を通して、新しい同胞社会への入り口を開いてくれたパヌジルサークル。7年間を通してたくさんのオモニたちと出会えて本当に良かった。これからもサークルでの出会いを大切にしながら、縫い物を通した民族文化の継承に努めていきたい。(尹幸枝、主婦)

[朝鮮新報 2003.5.9]