top_rogo.gif (16396 bytes)

逆境を順境に、まずは意識改革−九州青商会

 「豊かな同胞社会のために」「子どもたちの輝く未来のために」をスローガンに掲げる各地の青商会。中でも九州青商会は昨年6月、九州各県の青商会をひとつにして、活動をより活性化させようと結成された。「今、われわれに求められるのは、現状を正確に把握し、青商会が歩むべき道を示すこと。九州の同胞社会を守り発展させるためには、逆境を順境に転換させなければならない」と、゙一男会長(39)は強調する。昨年の9月17日以降、同胞社会を取り巻く情勢は大きく揺れ動いた。その一方で、同青商会では11月に大阪で開催された「ウリ民族フォーラム」参加を機に、「次回は九州で」という声が会員間で高まり、来年の九州開催が決まった。今の現状をどう打開しようとしているのか、九州青商会の取り組みを見てみた。

来年に民族フォーラム

 九州青商会の発足は、スケールメリットを生かし、会員間の人的・経済的交流、情報交換を広め、内容ある力強い組織を作り上げる契機にすることが目的だ。それもこれも、「子どもたちが明るい未来で暮らせるよう、豊かな同胞社会を築き上げていくためだ」(゙会長)。

 しかし、青商会の狙いとは裏腹に、昨年はピョンヤン学生少年芸術団公演の中止、さらには青商会と距離を置こうとする会員が表れた。また少子化時代、子どもを日本学校に送る同胞たち、その一方での朝鮮学校生徒数の減少≠ヘ、子どもを抱える青商会世代とかけ離れた問題ではない。

 全国各地、実情はどこも似たり寄ったりだが、解決策はあるのか。幹事長の朴龍哲さん(36)はこう語る。

 「まずは、若い世代に今の朝鮮学校の姿を知らせることが大切。6月、県下の各朝鮮学校では授業参観を行い、今春、10年ぶりに改編された新たな教科書の内容を紹介するが、青商会では非学父母を主な対象とした、教育シンポジウムを開催する。これを現状打開の大きな足がかりにしたい」

 シンポジウムは、進化する民族教育の姿、かつてとは違う新たな姿を示す場となろう。「激しい論議も予想されるが、教育と政治は別問題。若い世代の意識を一つひとつ変えていく必要がある。そしてそれを土台に、来年の民族フォーラム開催を目指したい」(朴幹事長)。

同胞社会の今後を左右

 青商会が守ろうしているのは言うまでもなく民族教育、朝鮮学校だが、その存在価値について会員らはどう考えているのか。福岡初級に2人の子どもを通わせている副会長の李哲和さん(40)はこう話す。

 「学校があってこそ母国語を学び話すことができ、民族の心を培うことができる。そして、そうした過程を経た人々が現在、同胞社会の中心を構成している。朝鮮学校の存在そのものが、同胞社会の今後を左右する」

 また福岡青商会会長の李宰民さん(40)は、「華僑の人も、仲間同士なら絶対に日本語は使わず、中国語(母国語)で会話する。朝鮮人だって家庭では、恥ずかしがらずに朝鮮語を使うべきでは」と強調する。

 こうした意識は人それぞれだが、昨年、地域の青商会ごとに行われた送年会は、会員らに好影響を与える場となった。送年会に会員らは家族で参加し、「非学父母と接する絶好の機会」となったという。すべての活動を内容ある活動に転換させ、会員らの意識改革から取り組もうとしている九州青商会。 来年、九州地方の民族教育の再構築に向け、九州中高の新校舎が竣工されるが、子どもたちの希望に満ちた笑顔がそこにあふれることを願い、会員らは今も奮闘している。(羅基哲記者)

[朝鮮新報 2003.5.1]