Q　在日同胞ですが日本人と結婚しました。配偶者の国籍はどうなりますか？

　A　在日同胞と日本人との結婚は年々増加傾向にありますが、とりわけ妻が日本国籍である場合、その妻が一方の配偶者と同じ朝鮮あるいは韓国国籍を取得できるのかという相談が多く寄せられています。

　朝鮮民主主義人民共和国（以下共和国）、韓国および日本のいずれの国籍法によっても婚姻による国籍の変動（国籍の得喪）はありません。

　では、どうしても日本人配偶者が民族国籍を取得したい場合はどうなるのでしょうか。

　日本政府は「未承認国」という理由から、共和国の国籍法を認めず、在日同胞に一律に韓国国籍法を適用し、国籍問題を処理しています。そのため、ここでは韓国国籍法を中心に説明します。

　韓国国籍法第６条では、婚姻による場合は、｢簡易帰化｣による韓国籍の取得を認めています。婚姻した状態で２年以上、あるいは婚姻後３年が経過している場合は、婚姻した状態で１年以上韓国に住所がある配偶者に限って、｢簡易帰化｣による韓国籍の取得を許可しています。

　この条文では、在日同胞と婚姻した日本人配偶者が朝鮮あるいは、韓国籍を取得することができるように思われますが、ほとんどの在日同胞の生活基盤が日本にあることを考えると、上記の２年または１年の居住要件を満たすのは、実際には不可能です。よって、日本人配偶者の国籍取得は事実上困難だといえます。

　ここでさらに説明を加えると、共和国国籍法第６条では、｢共和国政府への請願｣による国籍の取得を認めているので、これにより日本人配偶者が朝鮮籍を取得する方法があります。しかしながら、前述したように日本政府が共和国の国籍法を認めず、在日同胞に一律に韓国国籍法を適用しているうえに、「朝鮮籍は『符合』に過ぎない」と非常に不当な扱いをしています。

　よって、日本人配偶者がこの「請願」によって共和国国籍を取得したとしても、日本国籍を離脱することができません。

　結論的に日本人配偶者の民族国籍取得は共和国国籍法によっても事実上は困難と言わざるをえません。（同胞法律・生活センター、〒１１０―００１６　東京都台東区台東３―４１―１０、TEL　０３・５８１８・５４２４　FAX　０３・５８１８・５４２９）

［朝鮮新報 2003.4.28］