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おぎオンマの子育て日記−がんばれ、息子よ

 満開の桜の下、「ミリョン、お花いっぱいだね」と言うと、人差し指を小さな鼻の穴に景気よく突っ込んで、得意顔だ。春である。サンホが幼稚園に入った。入園式の日、機嫌よく遊んでいたので、先生とチユニに任せて講堂で席に着いた。新入生の入場にサンホがいない。式が始まって、先生に抱かれて入ってきた。

 「遊んでたら、急に誰もいなくなった」そうだ。歩き始めた頃から、自ら死角に入り込んでは迷う子だった。その数日後、弟の結婚式のために実家へ向かった。新幹線が東京駅に着くと、10時過ぎだった。金曜の夜なので、東京駅からの電車は混んでいた。

 チユニは荷物に腰掛け、口をあけて眠り、抱いているミリョンは誰彼ともなく指差しては、据わった目で見つめている。疲れ果てたサンホは「ハンメとハルベのこと、嫌いになりそう」とべそをかく。なんでも、口に出す子である。

 ある日、サンホが電話を取ると、「ミレのおっちゃんやけど、今から集金に行きます」と言われたそうだ。「でもな、朝銀の声やったで」と不思議そうだ。本人が来ると、しばらく考えて、「朝銀のアジェってミレっていう子のアッパなんや」と納得した。朝銀はつぶれて、「ミレ」になったのだと説明すると、「バリバリってつぶれたん?」と眉根を寄せる。的外れの心配は、得意中の得意だ。風呂上り、裸のままで、両手を前後に振りながら足踏みしている。「何してるの。早く来てパジャマ着なさい」と言うと、「サンホは壊れたロボットやねん。だから、これしかでけへんねん」と言いながら足踏みを続けている。

 アメとムチを使い分ける姉と、序列を勘違いしている妹の間で、悩みも多いことはわかっている。がんばれ、息子よ。前へ進め。

アッパのひとこと−多くは望まない

 子供たちに多くは望まない。健康で明るくて思いやりがあって、頭もよくて運動もできて生活力もあり、熱中できることを持っていて、仲のいい友達もいて夢もあって、ちょっとやそっとじゃへこたれないガッツもある。たったそれだけだ。ん?

[朝鮮新報 2003.4.26]