各地の同胞が語る「私とサークル」−プンムルサークルセマチ(朝大) |
5年前に結成された同サークルは、学生たちが自ら楽器を購入し、ビデオを見たり、金剛山歌劇団に指導を依頼するなどして民族のリズムを身に付けていったのが始まりだった。何もないところから始まったサークルだが、現在、活動は学内のみならず、数多くの対外公演、同胞や朝鮮学校、日校生への指導など多岐にわたっている。 リズム楽しむ 「セマチ」とは、朝鮮民族特有の8分の9拍子のチャンダンのリズムのこと。中学の卒業式で同級生らとともに自作のサムルノリを披露した経験を持つ私は大学入学後、「セマチ」の存在を知ると同時に即入部を決意した。それからというもの、学業のかたわら仲間とともに民族の「カラッ(リズム・ノリ)」を全身で感じながらいつも楽しく練習している。活動の集大成として毎年恒例となっている学内公演「アッ(楽)」も行っている。 昨年の12月、地元の朝青西東京から「日本の高校に通う同胞学生(以下日校生)が1カ月後に行われる地元同胞青年の20歳の集いで披露する、サムルノリの指導をしてくれないか」という依頼を受けた。今まで同胞や朝鮮学校児童たちを対象に指導依頼を受けたことはあったが、チャンダンすら聞いたこともない日校生たちにうまく教えられるだろうか−。しかも期間は1カ月足らずとあって、メンバー全員がそろって練習できるのは本番当日のリハーサル時のみだという。不安もあったが、「精一杯チャンダンの楽しさを伝えたい」との思いから引き受けることにした。 20歳のプレゼント 練習を始めた途端、そんな不安はどこかに吹き飛んでしまった。みんなとても熱心で、冬休みも自発的に支部に集まって練習した。日々、水を吸うスポンジのように民族のリズムを吸収していく日校生たち。練習に励む彼らの生き生きとした表情に、彼らの中に眠っていた民族性が確かに育ち始めているのを感じ取ることができた。時には練習後に進路のこと、在日同胞社会、民族教育などについて話し合うこともあった。 そして、とうとう迎えた本番当日。私の不安をよそに日校生たちは「西東京同胞青年の20歳を祝う集い」で堂々と民族のチャンダンを披露。地域同胞たちの拍手喝采のなかで、彼らもまた同胞社会の一員としての第一歩を踏み出したようだった。またその演奏は20歳を迎えた私にとっても1番のプレゼントとなった。 私たち新しい世代にとって民族性とは自然と身につくものではなく、自ら掘り起こすものだと思う。それは難しいことではなく、自分の血に流れる、元から持っているものを呼び覚ますことだということを今回の体験を通じて学んだ。今後もさまざまなことにチャレンジしながら、サークル活動の新しい可能性を見つけ出していきたい。(崔運普A政治経済学部3年) [朝鮮新報 2003.4.18] |