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報道の視点と立場

 米英によるイラク侵略開始と時を同じくし朝鮮を訪問してきた。朝鮮でもイラク戦争に対する関心は高く、連日、テレビや新聞で報道されていた。しかし、日本に戻りマスコミの報道を見ると、朝鮮の報道とはまったく視点が違っている。

 朝鮮での報道の主流は、イラク国民がいかに外勢の侵略に対し戦っているのか、世界各地で反戦の声がいかに広がっているのかという点だ。視点の違いはすなわち立場の違いである。

 日本政府は米英のイラク攻撃にいちはやく支持を表明した。「われわれはイラクを敵とみなす」ということだ。本来、政府の立場から自由でなければならないはずのマスコミだが、論調を見るとほとんどが米英の思惑を代弁するものとなっている。たぶんそういう立場の報道がなされているだろうと予測はしていたが、日本に戻りこの間の報道をまとめて見ながら暗澹たる思いにとらわれた。国際社会の秩序や声を無視し、多くの民間人を殺りくしている米英に正義がないのは誰の目にも明らかなはずだ。

 朝鮮問題に関する報道も、相変わらず、核問題、ミサイル問題をうんぬんし、「北朝鮮の脅威」をあおりたてている。しかし、朝鮮に対する核先制攻撃を想定した米国と南朝鮮の「フォールイーグル」演習と「連合戦時増援演習」に関してはほとんど報道されていない。

 米国とそれに追随する勢力の圧倒的な軍事力と対峙しつづける朝鮮がいかに緊張を強いられているのかは、日本の報道では絶対に見えてこない。このことも今回改めて感じたことだ。

 もうひとつ驚いたことは、日本に戻ってくるまでには終わっていると思っていたイラク戦争が、現在も続いているということだ。当初、3日間で戦争を終わらせると豪語していた米国の思惑は、イラクの人々の徹底抗戦に合い完全に挫折した。

 戦争の結果がどうあれ、正義は米国の側にはありえない。(徹)

[朝鮮新報 2003.4.9]