〈生活相談きほんのき−パート2−1〉 米留学中に生まれた子の国籍は? |
東京・上野の同胞法律生活センターをはじめ、各地の同胞生活相談綜合センターに寄せられる相談をもとに、相談内容の上位を占める相続、国籍、在留資格、南朝鮮や海外渡航に関わる問題を中心にそれぞれの分野の専門家に解説してもらいます。(編集部) Q 米国に3年ほど留学する予定です。妻も一緒に行きますが、その間、現地で子どもが生まれた場合、子どもの国籍、日本における在留資格はどうなりますか? A 1991年から在日同胞の再入国許可の期限が最長4年(※さらに1年の延長可)となったため、留学や商用などで、長期に渡って海外に滞在するケースも多くなっています。 一般的に、子どもが生まれた国が血統主義を取っている場合、子どもは父母の国籍だけを取得することになります。しかし、米国のように出生地主義を取っている国の場合は、子どもは父母の国籍に加えて、出生地の国、すなわちこの相談の場合、米国の国籍も取得することになります。
したがって、相談者が民族国籍を持った同胞同士のカップルである場合、その子どもは朝鮮(あるいは韓国)と米国の二重国籍となります。 では、このように日本国外で子どもを出産した場合、おそらく子どもは親と一緒に日本に戻って暮らすことになると思われますが、その場合、その子どもの在留資格はどうなるのでしょうか? また、子どもが日本に入国するにはどうすればよいのでしょうか? 父母が「特別永住」の在留資格を持っていても、その子どもが「本邦(日本)で出生し、引き続き本邦に在留する者」(1991年入管特例法)との要件を満たさないため、子どもには「特別永住」の資格が与えられない取り扱いになっています。そのため、子どもを連れて日本に戻るためには、まず米国国籍も持っている子どもの米国パスポートを取得し、「短期滞在」などの在留資格で日本に入国するようにします。 そしてその後に、父母の住所地を管轄する入国管理局で在留資格を「定住者」あるいは「永住者」(「特別永住」ではありません)へ変更するための手続きをしなければなりません(※米国で必ず「出生証明書」をもらっておくこと)。 日本で生まれた場合は、父母のいずれかが「特別永住」であれば、出生届の提出と同時に在留資格取得の手続きができるうえ、子どもは「特別永住」を取得できます。しかし前述したように、海外で生まれた子どもの在留資格の取得手続きは複雑なうえ、子どもは「特別永住」を取得できません。このようなことをしん酌すると、出産の際には、多少面倒ではあっても日本に戻ってくるのが無難なようです。(同胞生活・法律センター) [朝鮮新報 2003.4.8] |