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国民の献身性に期待

 金正日総書記の欠席ばかりが話題となった最高人民会議第10期第6回会議(3月27日開催)。だが、注目すべきは、朝鮮戦争以来50年ぶりに公債を発行したことだ。目的は経済建設に必要な資金需要を円滑に保障することにあるという。

 会議で報告した文一峰財政相が、「余裕貨幣資金を効果的に動員利用するため」「人民の崇高な愛国心と公民の自覚に基づき」などと述べていることから、国民のタンス預金≠国家予算に還元したい狙いがありそうだ。今年の予算が前年比14.4%増なのに対して、歳入規模は13.6%増と予想されているからだ。

 公債発行を知らせる内閣公報によると、有効期間は今年5月1日から2013年4月末までの10年間で、500ウォン券、1000ウォン券、5000ウォン券の3種類がある。元金のほかに、抽選に当たれば当選金も加算される。「人民の福利増進に貢献するのが目的」(文財政相)と言える根拠はここにある。

 昨年7月1日から、朝鮮では物価と給与をアップさせた経済管理改善策が実施されている。これによって、予算案もこれまでと違った形で計算する必要に迫られているのは想像に難くない。これまで明らかにされていた歳入、歳出額が明かされなかったのも、そうした脈絡から考えることも可能だ。

 とはいえ、経済状況はやはり芳しくないのだろう。大きな要因としては、貴重なエネルギー源だった重油提供が中断したことがあげられる。工場や機械の稼動に支障を来しているかもしれず、それによって、生産も滞っているのだろう。

 核問題で緊張が続く朝鮮半島情勢。「力のある人は力で、知識のある人は知識で、金のある人は金で新朝鮮を建設し、祖国解放戦争の困難な時期にも公債発行事業に立ち上がり国を守るのに貢献した」(文財政相)。今回の公債発行も、そうした国民の献身性を求めたものだろう。(聖)

[朝鮮新報 2003.4.2]