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「おかしい」テレビ

 世界の反対を押し切って、米国が対イラク攻撃を強行した。

 テレビでは連日のように現地の様子や戦況が事細かく報道されているが、なにかおかしい。世界各地での反戦デモや集会なども紹介しているものの、焦点が当てられているのは巡航ミサイル「トマホーク」をはじめとする最新鋭の武器を駆使した「ハイテク戦争」。

 国内外で反戦世論が日々高まっているにもかかわらず、コメンテーターの口からは、「戦争はNO」という声はほとんど聞こえてこない。それどころか、「戦争の早期終結で国際的非難をかわすのが狙い」などと、米国の思惑を代弁している「評論家」も多い。バグダット市民の様子を聞かれたある特派員が、「政権中枢部を狙ったピンポイント攻撃のおかげ」で、ほとんど被害はないと言ってのけるありさまだ。

 ハイテク武器を駆使し被害を必要最小限に抑えるピンポイント攻撃なら、戦争を行ってもいいのか。そもそも、国連安保理の決議もなしに一国の政権を転覆させるなどということが許されるのか。こんなことが許されればそれこそ米国の一人勝ち、「世界制覇」を受け入れざるを得ない状況に追い込まれてしまう。

 こうした論調が大勢を占めないところにテレビのおかしさがある。

 朝・日首脳会談後の朝鮮に対する過熱報道もまたしかり。冷静に、普通に考えれば「おかしい」と思うはずなのに、なぜかそれとは反対の方向にどんどん進んでいく。

 先日、通勤途中の電車の中で、若者が海から河口へ向かう複数の男性を乗せたモーターボートを指差しながら、「あれ北朝鮮からの避難民じゃない?」と冗談交じりで話しているのを聞いてショックを受けた。

 これを「しめた」と思う人より、「おかしい」と思う人の数がテレビ業界はもちろん日本の社会でもっと増えることを切に願いたいものだ。(松)

[朝鮮新報 2003.3.25]