同胞障害者の音楽サークル「Tutti」、横浜で初のコンサート |
在日同胞福祉連絡会の同胞障害者音楽サークル「Tutti」のメンバーが22日、(有)ストレインとKYN神奈川が共催したイベント「ORU−FEST E−Style21.K」(横浜・赤レンガ倉庫)で初めてのコンサートを開いた。朝鮮大学校教育学部の学生をはじめ、多くのボランティアと手を取り合い歩んできた1年間の結晶だ。 白のパジチョゴリに青空のような水色のチョッキ。晴れやかな衣装をまとったメンバーは朝大生らとともに舞台に登場するや、民族打楽器を手に取り軽快なチャンダンを披露した。 続く出演者紹介はユーモア満載。底抜けに明るい白b浩くん(11)は「芸人魂」を発揮し、「キャイーン」のポーズで自己紹介。いつもオンマと離れると泣いていたが、すっかりボランティアにも慣れた金潤樹くん(16)はお気に入りの「大きな栗の木の下で」を披露した。それぞれの個性を生かした紹介ができるのも、1年間二人三脚でがんばってきたボランティアがいたからこそ。元気いっぱい、韓昌道さん(朝大教育学部)の大阪弁の司会がテンポを添えた。 真っ暗な会場内にスポットがあてられ「Tutti」で最年長の梁進成さん(36)の姿が浮かび出る。点字を拾いながら読み上げたのは彼の「夢」だった。 当たり前に通えると思ったウリハッキョ(朝鮮学校)に行けなかった悔しさ、同胞とのつながりを持てず、孤独に打ちひしがれた10年間。そんな時に出会った在日同胞福祉連絡会の仲間が「光」だったこと…。「鉄道に乗って各地に散在する同胞と語り合いたい。そして、本当の意味での民族心を追求したい」―。 朴理沙さん(20)は手話で1年間を振り返った。「ボランティアのみなさん、ありがとう」。 「見えなくても聞こえなくても/ビートはハートで刻む/生んだ音がさらにやさしさを生むように/可能性は常にともに広がり続ける/このあふるる感謝と命とを音にして届けよう」 1年間、苦楽を共にした朝大生が考えたフレーズをもとに詩人の高晟さんが完成させた詞は、この間の練習風景をおさめた映像とともにメンバーに贈られた。 「Tutti」が2番目の楽器演奏に選んだのは「チョソネノレ」(朝鮮の歌)。同胞との触れ合いが少なかった彼らだが、ごく自然に民族の歌を選んだ。最後は朝大生がこの日のために作詞作曲した「Tuttiの歌」の合唱。「壁」を乗り越えひとつの舞台を作り上げた出演者の姿が観衆の心に温かく、深く響いた。 東京・足立から来た金英子さんは、「のびのびとして溢れるばかりの自信に満ちた輝くあの顔、この顔。涙が止まらなくて困りました」と胸一杯の様子だった。 [朝鮮新報 2003.3.25] |