top_rogo.gif (16396 bytes)

朝鮮半島と日本の未来考えよう−2003年東アジア共同ワークショップin北海道

 日本、南、在日の若者が強制連行や強制労働の歴史を学び、朝鮮半島と日本の未来を考える「2003冬の東アジア共同ワークショップ」(空知民衆史講座など主催)。2月14〜16日まで、北海道空知管内幌加内町朱鞠内の旧光顕寺・笹の墓標展示館で開かれた。

共通の歴史体験を

 日本の植民地支配時代、雨竜ダム建設や深名線鉄道工事などで多くの朝鮮人らが強制連行、強制労働を強いられた北海道幌加内町朱鞠内。同ワークショップは97年、在日、日本、南の若者が同地域で犠牲者たちの遺骨発掘作業を共同で行ったのがきっかけで始まった。その後も「共通の歴史的体験から互いの違いを知ろう」と、毎年夏と冬の2回、大阪、ソウル、済州道などで行われてきた。97年には4体、02年には2体の遺骨を朱鞠内共同墓地で発掘している。

 取り組みは遺骨発掘作業だけにとどまらない。フィールドワークと称し、遺族の聞き取り調査、元「従軍慰安婦」ハルモニたちとの交流や北海道朝鮮初中高級学校への訪問など、回を重ねるごとに歴史認識を共有し、互いの理解を深めるためのさまざまな活動へと幅を広げている。

 今回のワークショップには在日、南、日本の大学生、そして道内外の日本、在日の高校生、社会人、日本学校教師ら75人が参加。初日の14日には、展示館の屋根に1メートル近く積もった雪を下ろしたり、鎌倉を作ったりして交流を深めた。また、2日間昼夜を問わず行なわれた討論会では、歴史認識を共有するためのさまざまな意見が交換された。

学び合える仲間

 ワークショップ共同代表の1人で南生まれの金英丸さん(30、高知・「草の家」平和資料館勤務)は、過去に自身が南で行った遺族調査体験について報告。「アボジ(父)の死亡さえ知らされず、『これで命日を知ることができた。ちゃんと供養ができる』と喜ぶ遺族がいる。遺骨問題を今後どのように解決していけばいいか、ここに集まったみなさんとともに考えていきたい」と呼びかけた。

 昨夏、朱鞠内で行われた「高校生による東アジア共同ゼミナール」に参加した杉本丈洋さん(19、苫小牧工業高等専門学校3年)は、「歴史の事実を知れば知るほど、強制連行されたたくさんのアジアの人々の犠牲のうえに今の北海道があるということを学んだ。また在日の同世代と知り合うことで、彼らが入居や就職などさまざまな差別を受けていることも初めてわかった。彼らへの嫌がらせが相次いでいることを知った時は、『もし何かあったら助けに行く』とメールや電話で励ました。これからもともに学びあえる仲間として、彼らと活動していきたい」と語った。

 朝鮮大学校から参加した鄭文哲さん(政治経済学部3年)は、「先祖の血のにじむような体験を、実際に現場に足を運ぶことで体に刻み付けたい。掘り返し、語り続けることが私たち3世の責任。そうしなければ歴史はどんどん消えていく」と述べた。

 共同代表の殿平真さん(25、深川市一乗寺住職)は、強制連行について「1人の人間として命が軽んじられていることに憤りを感じる。半世紀前の生身の体験を直接聞き、またその遺骨を発掘していく過程で歴史を実感し共通の歴史的体験をしていきたい」と述べていた。

 今後は8月に北海道での開催を目指し、準備を進めていく。「中国・海南島での強制連行調査活動なども視野に入れている」(殿平さん)。

 問い合わせは、「空知民衆史講座」(北海道深川市多度志630一乗寺、TEL 0164・27・2359)、または「笹の墓標ネット」(URL=http://www.geocities.com/shumarinai/)まで。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.3.14]